コラム

中国の一帯一路「もう一つのシルクロード」にも警戒が必要だ

2019年06月06日(木)18時50分

「外部からウォッチしているだけでは正確なことは分からないが、中国が世界の先頭に立って国際貿易だけでなく金融にも民間のブロックチェーンを利用しようとしているとはおそらく言えるだろう。金融は中国がブロックチェーン技術を国際的に利用しようとしている分野だ」

「中国は間違いなく米国と肩を並べているか、すでに世界一になっているかもしれない」

――中国の運営するブロックチェーンとEUの一般データ保護規則(GDPR) は相容れるのか

「GDPRは中国のブロックチェーンが欧州で大きすぎる影響力を持つことに歯止めをかけるべきだ。しかし問題なのは、一般的にGDPRはすべてのブロックチェーンに反対していることだ。欧州のブロックチェーンも使えないことになる」

「だから実際にはケース・バイ・ケースで判断していくことになる。中国、中でもアリババのブロックチェーンが欧州に入り込む余地はたくさんある。誰も十分には中国のブロックチェーンに注意を払っていない。GDPRも適切に対処できる手段を持っていない」

――EUは中国に対して共通政策を打ち出せるか

「欧州議会選の結果、勢力の断片化が進んだ。中道右派や中道左派だけでなく、極右が台頭し、新しい流れも出てきた。このため欧州議会の多数派形成に大きな変化が生じ、共通の対中政策を打ち出すのはこれまでより難しくなる」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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