コラム

まさにトランプの「外交的勝利」...NATO加盟国が国防費のGDP比5%で大筋合意、「無理難題」が実現へ

2025年06月06日(金)19時07分
NATO国防相会合に出席したピート・ヘグセス米国防長官

NATO国防相会合に出席したピート・ヘグセス米国防長官(ブリュッセル、6月5日) Yves Herman-Reuters

<国防費の5%への引き上げのうち3.5%はハード面の国防費、1.5%はインフラ整備と国防関連活動費となる見通し。独メルツ新首相はトランプとの関係良好>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領と米実業家イーロン・マスク氏が決裂し、SNS上で壮絶なバトルを繰り広げる中、ロシアの軍事的脅威に直面する欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は対立を避け、トランプ氏に歩み寄った。

NATO国防相会合に出席したピート・ヘグセス米国防長官は6月5日、加盟国が今後10年間で国防費を現在の国内総生産(GDP)比2%から5%に引き上げる目標について「合意に非常に近づいている」と、今月下旬にハーグで開催される首脳会議で合意できるとの見通しを示した。

「同盟は数週間のうちに5%の拠出を約束することになる。うち3.5%はハード面の国防費、1.5%はインフラ整備と国防関連活動費だ。この組み合わせが真のコミットメントとなる」とヘグセス氏は力を込めた。現在ハード面の国防費で3.5%を上回るのはポーランドの4.32%だけだ。

同盟国全体で1兆ユーロ以上の追加支出が必要

出口が全く見えないウクライナ戦争の和平交渉を通じてトランプ氏の「脱欧入亜」があからさまになっても、米国の「核の傘」に依存する欧州の安全保障は米国抜きでは成立しない。NATOの要諦は欧州にとって「米国を巻き込み、ロシアを締め出す」ことに変わりはない。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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