コラム

「英国を丸裸にするEU離脱はもう止めて」ケンブリッジ大の女性博士が裸の訴え

2019年02月09日(土)21時23分

ブレグジットを利用して次期首相の座をうかがう機会主義者のボリス・ジョンソン外相と異なり、リース・モグ氏は筋金入りの保守派で、離脱派の論客。信仰心の厚いカトリック教徒で、ビクトリアさんのように人前で裸になる姿など想像できない。ビクトリアさんの果たし状を受け入れることはないだろうが、論戦は是非、聞いてみたい。

ドナルド・トゥスクEU大統領(首脳会議の常任議長)はアイルランドのレオ・バラッカー首相と会談したあと、「合意なき離脱もやむなし」と息巻く強硬離脱派について「彼らのために用意されている地獄の特別な場所がどんな所か見てみたいとずっと考えてきた」と挑発した。

地獄を見るのはイギリスかEUか

数にモノを言わせたEU側のこうした高圧的な態度が英国の国民感情を逆なでし、強硬離脱派をさらに先鋭化させてきたことを我々はどうとらえたら良いのだろう。

アイルランド・北アイルランド国境問題にしても通商交渉が決裂した場合、国境に税関を設ける必要があるのは域外関税を英国に課すアイルランドとEUなのに、負担のすべてを英国側に押し付けようとしている。「国境を開かなければならないのは英国ではなく、アイルランドとEU側だ」というリース=モグ氏の主張はまさに正論なのだ。

EUの本質はその排他的な単一市場と関税同盟にある。欧州に平和をもたらした最大の功労者である英国に「懲罰」を科し、ウィン・ウィンの関係を築けないようなら、EUに明るい未来はない。その場合、最終的に地獄に落ちるのは英国ではなく、EUのように思えるのだが。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com

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