コラム

新型ウイルス、日本の「検査難民」問題に韓国の「ドライブスルー検査」を活用せよ

2020年02月28日(金)13時53分
新型ウイルス、日本の「検査難民」問題に韓国の「ドライブスルー検査」を活用せよ

韓国が導入した新型ウイルスのドライブスルー検査(大邱市、2月27日) Yonhap/REUTERS

<日本では新型コロナウイルスの検査件数がまだ1日平均900件ほどにとどまっているのに対し、韓国では直近で1万1400件。新たに加わったドライブスルー方式検査を含め、そのノウハウを探る>

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、日本では発熱などの症状があり、検査を希望しても受けられない「検査難民」の存在が深刻な課題となっている。加藤勝信厚生労働相は、2月26日に開かれた衆院予算委員会で、2月18日~24日の7日間の検査実績は、合計で6300件に止まっていることを明らかにした。この数値を1日で換算すると1日平均約900件で、政府がこれまで説明してきた1日最大検査能力約3800件を大きく下回る。政府は、現在、全額公費で負担している新型コロナの感染有無を調べる検査に保険を適用することで、民間の医療機関などでの受診を増やす方針である。

韓国では、2月27日9時時点で累積検査件数56,395件、2月27日9時までの24時間で11,414件の検査が行われた。日本に比べて韓国の検査件数が多い理由としては民間部門まで検査ができるようにしたからである。韓国政府は新型コロナウイルスの感染有無を確認し、感染者に対する措置を早く実施するために2月7日から民間医療機関まで検査機関を拡大した。その結果、現在、全国の約570カ所の検査機関で検査が行われており、この中には保健所や検査会社以外に韓国政府が指定した約110カ所の民間病院が含まれて検査を行っている。

体温測定から検体採取まで10分

さらに、最近は「ドライブスルー」方式の新しい検査が行われ、注目を集めている。大邱市や世宗市など一部の地方自治体では26日から自動車に乗ったまま検査が受けられる「ドライブスルー」方式の検査を実施しているドライブスルー(Drive Through)」とは、自動車に乗ったまま商品が買える機能および設備のことで、ファストフード店でお馴染みだ。車から降りずに素早く買い物が済むので、ドライブスルーの利用客は毎年増加する傾向にある。

■韓国における新型コロナウイルスの検査件数と検査件数の対前日比増加数
kensahikaku.png
注)毎日午前9時基準
出所)韓国疾病管理本部「新型コロナウイルス感染症発生現況」(各日)から筆者作成

韓国ではこの仕組みを新型コロナウイルスの検査に利用した。検査を受けたい人が「ドライブスルー」が設置されている選別診療所に来ると、車に乗ったまま検査が受けられる。受付から問診表の作成、医療スタッフとの面談、体温の測定、鼻と口からの検体採取までの全プロセスにかかる時間は10分程度で、その間、一度も車から降りる必要はない。ドライブスルー検査のメリットとしては、1)室内に入らないため、患者の出入りにともなう消毒を行う必要がないこと、2)消毒などの時間が少なくてすむため検査の時間を短縮できること、3)待機中の交差感染を減らせること、4)屋外なので早く設置できることなどが挙げられる。

ドライブスルー検査は2月24日に行われた与党「共に民主党」主催の「新型コロナウイルス対策特別委員会専門家懇談会」で初めて提案され、わずか二日という早いスピードで実施まで至った。新型コロナウイルス問題に対する韓国の切迫感が感じられる。

「検査難民」の存在が深刻な課題となっている日本でも民間の医療機関などでの受診を増やすと共にドライブスルー検査の導入を検討してはどうだろうか。一刻も早く、事態が収束することを願うところだ。

プロフィール

金 明中

1970年韓国仁川生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科前期・後期博士課程修了(博士、商学)。独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年からニッセイ基礎研究所。日本女子大学現代女性キャリア研究所客員研究員、日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科非常勤講師を兼任。専門分野は労働経済学、社会保障論、日・韓社会政策比較分析。

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