コラム

英「ポストオフィス」冤罪事件、「欠陥を把握していた」富士通の責任はどこまで及ぶのか?

2024年02月07日(水)18時30分

富士通は「欠陥を把握していた」

富士通の幹部は「システムの欠陥について把握していた」と説明しており、「富士通が冤罪に関与していたことを謝罪したい」と述べているので、状況をかなりの部分まで認識していたことになる。一方、補償については「道義的義務がある」としており、契約に基づくものではないとのニュアンスも感じられる。

しっかりとした契約が成立しており、その中で障害が発生したのなら、富士通はその範囲で責任を果たせばよいはずだが、説明は曖昧なままだ。このため、英政府と富士通が結託して大規模な隠蔽を行っていたのではないか、富士通は日本の会社なので、全てを押し付けようとしているのではないかなど、様々な臆測が飛び交う状況となっている。

富士通は日本を代表するシステム会社の1つであり、マイナンバー関連をはじめ、日本の行政システムも数多く手がけている。このままでは行政デジタル化全体への不信感につながりかねない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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