最新記事

イギリス事情

「家賃はセックスで」、住宅難の英国で増える「スケベ大家」

2018年4月11日(水)18時50分
松丸さとみ

家賃の代わりに性的な見返りを求める行為が社会問題化している 写真はイメージ lolostock-iStock

<イギリスの住宅難に乗じて、家賃の代わりに性的な見返りを求める行為が社会問題化している>

家賃の代わりに求めるのは...

英国では、住宅難が叫ばれて久しい。英紙フィナンシャル・タイムズは2017年11月の記事で、「英国の住宅市場は破綻している」と書き、政府でさえもそれを認めていると伝えていた。同紙は主な原因として、移民の増加や一世帯あたりの人数が減ったことが、必要となる住宅数を引き上げていると説明している。

一方、英紙インディペンデントが今年1月に報じた記事によると、2017年の秋にイングランドの路上で生活していた人の数は、一晩あたり4500人となり、2010年から倍増した。

このような英国の住宅事情で、高い家賃を工面できずに困っている人たち、特に若い女性を狙う特殊な入居者募集のクラシファイド広告が、クレイグズリストなどの無料広告サイトに増えており、社会問題化しているという。

「親密な取り決め」や「お願いごと」と交換に家賃を無料にする、などの巧みな表現を使って、家賃の代わりに性的な見返りを求めているのだ。そうとは知らずに部屋を借りてしまったという被害が実際に出ており、大抵、お金のない学生などの若い女性がターゲットになっているが、男性が被害に遭うケースもあるという。

「悪いことはしていない」と主張する大家

英紙ザ・サンは2月5日付の記事で、そしてBBCは2月28日放送のドキュメンタリー番組で、この問題についてそれぞれ「おとり取材」をした様子を取り上げた。おとり取材をした記者はいずれも20代の女性で、クレイグズリストで見つけた入居者募集の広告主(大家)に連絡し、実際に会った。

サンの記者が家探しをしていると装って会ったのは、寝室が1つしかないマンションで「ベッドをシェアする」ことが家賃無料の条件とする大家だ。しかし実際に会って詳細を聞くと、「体を抱きしめて添い寝」と言い出し、それ以上については「何が起こるか分からないけど様子を見てみようよ」と説得している。この会話の様子は、動画で同紙のサイトに掲載されている。

サンやBBCの記者が話を聞いた大家の誰もが、「悪いことをしているわけじゃない」と話したという。しかし3月5日付のBBCの記事によると、家に住まわせる見返りに性的な行為を求めるのは売春への扇動行為とみなされ、イングランドとウェールズでは最長7年の禁固刑になる可能性もある。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米10月求人件数、1.2万件増 経済の不透明感から

ワールド

スイス政府、米関税引き下げを誤公表 政府ウェブサイ

ビジネス

EXCLUSIVE-ECB、銀行資本要件の簡素化提

ワールド

米雇用統計とCPI、予定通り1月9日・13日発表へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中