コラム

参院選が日本経済にもたらす変化とは...人気取りで「非合理的な経済政策」の実現はあり得る?

2025年07月31日(木)11時45分
与党が敗北した参院選が日本経済にもたらす影響

YUSUKE HARADAーNURPHOTOーREUTERS

<参院選で与党が敗北したことで、今まで以上に野党の要求を受け入れる必要が。日本でも多党制が常態化していく可能性が高まるなか、経済政策にはどんな影響があるのか>

7月20日に投開票が行われた参議院議員選挙で与党が敗北した。一方で野党第1党の立憲民主党も議席を伸ばすことができず、与党が失った議席は国民民主党や参政党など、立憲以外の野党各党に分散している。

つまり今回の選挙で示された民意は、政権与党に対してノーを突き付けているものの、野党第1党である立憲民主党を中心とした政権交代も望んでいないということになる。

今回の選挙は、当初から与党の苦戦が取り沙汰されており、大敗北になるとの見立てもあった。だが1人区を中心に自民党がそれなりに踏ん張ったこともあり、最終的に同党は52議席から39議席と13議席の減少となった。


公明党も議席を減らしたことから、与党は参院でも過半数割れとなり、誰が首相でも今後の政権運営はさらに厳しさを増す。政策を立案するに当たっては、今まで以上に野党の要求を受け入れる必要があるため、法案を通すのは相当、難しくなるだろう。

一党独裁の時代とは異なり、各党が政策で意見を出し合い、国会の議論でコンセンサスを得ること自体は悪いことではない。だが、どうしても懸念されるのは、社会保障や財政など、本来、政争の具になってはならない分野の議論だろう。

今回の選挙結果によって、野党各党にはこれまで以上に責任政党としての立場が求められる。本来であれば、財政や社会保障の問題についても、単なる人気取りの政策を打ち出すことは難しくなってくるはずだ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中首脳、来月の直接会談で合意 TikTok交渉で

ワールド

米共和有力議員、トーク番組休止で異例の批判 「まる

ワールド

トランプ氏のNYT名誉棄損訴訟却下、訴状が冗長で不

ワールド

米大統領令、高度専門職ビザに10万ドル申請料 ハイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 2
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で「不敬行為」? ネットでは非難轟轟、真相は?
  • 3
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 4
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】21年連続...世界で1番「ビールの消費量」…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    トランプに悪気はない? 英キャサリン妃への振る舞い…
  • 9
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 10
    漫画やアニメを追い風に――フランス人が魅了される、…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 9
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story