コラム

参院選が日本経済にもたらす変化とは...人気取りで「非合理的な経済政策」の実現はあり得る?

2025年07月31日(木)11時45分

日本が向かう多党制の最大の「欠点」

しかしながら、政治は容易にポピュリズムに走ってしまうものであり、その意味では、ある種の知恵が必要となってくるかもしれない。例えば各政党間で、社会保障や財政について政争の具にしないための協議体を設置するといった試みがこれに該当する。

公的年金については不十分とはいえ、先の国会で法改正が行われ、基礎年金部分の底上げや厚生年金適用事業所の拡大など、これまで課題とされてきた部分の多くが解決に向かい始めた。将来的な持続可能性について何とか方向性が固まりつつある状況だが、一方で財政については十分な見通しが立っているとは言い難い。

財政の根幹が揺らげば、せっかく見えてきた公的年金の将来像も絵に描いた餅になってしまう。


欧州では以前から多党制とも呼べる状況が続いており、日本でも今後、二大政党を目指す方向性が失われ、多党政治が常態化していく可能性が高い。多党制の最大の欠点は合理的なコンセンサスを得ることができず、実現不可能な「いいとこ取り」に走ってしまうことである。

二大政党制のイギリスですら2022年にリズ・トラス首相が財政を無視した大型減税を発表し、市場でトリプル安が発生。最終的にトラス氏は辞任に追い込まれた。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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