コラム

「送料無料」でも楽天はアマゾンに勝てない あえて三木谷氏にダメ出しする

2020年02月26日(水)12時20分

三木谷氏も本心では問題の構造を認識しているはず ロイター/Yuya Shino

<何が何でも送料無料化を強行する構えの楽天だが、同社が苦戦している根本的な原因は別のところにある>

送料無料化の負担をめぐりネット通販大手「楽天」が揺れている。同社は今年3月から送料無料化を実施する方針を打ち出したが、その原資を出店者に負担させるという手法に一部の出店者が強く反発。公正取引委員会は独占禁止法違反の可能性があるとして立ち入り検査に乗り出した。

同社創業者で会長兼社長の三木谷浩史氏は、送料無料化について以前から「何が何でも成功させたい」と発言しており、検査の実施をにおわせる公正取引員会を批判するなど正当性を強く主張してきた。だが楽天が展開する事業の本質を考えると、今回の送料無料化にはそもそも無理があり、三木谷氏の思惑どおりには進まない可能性が高い。

楽天は国内ネット通販大手であり、競合としてアマゾンがよく比較される。楽天とアマゾンは似たようなビジネスに見えるが、事業構造は大きく異なっている。楽天は一部を除き、消費者に直接、商品を売っているわけではなく、楽天市場に店を出す小売店から出店料を取っている。楽天にとっての顧客は消費者ではなく出店者であり、いわば場所貸しのビジネスなので、どちらかというと不動産業や百貨店に近い。

これに対してアマゾンは商品のほとんどが直販であり、純粋な小売店なので、消費者が直接的な顧客である。もちろん楽天も消費者が楽天市場で買い物をしてくれないと出店者がいなくなってしまうので間接的には消費者も顧客といえるが、ビジネスの世界では誰からお金を受け取るのかという違いは極めて大きい。

アマゾンの優位は必然

アマゾンは消費者に選んでもらうことがシェア拡大の絶対条件なので、消費者の利便性向上に経営資源のほとんどを投入してきた。一方、楽天は商品の販売は基本的に出店者に委ねられるため、どんなサービス内容にするのかは出店者次第である。アマゾンは商品を買う前から、それがいつ届くのかほぼ例外なく分かるようになっているが、楽天にそうしたサービスがないのは、自らが小売店ではないという部分に起因している。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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