コラム

「日本の景気はもっとよいはず」日銀レポートの衝撃

2016年08月23日(火)16時10分

 支出面の統計は、企業が生産した製品やサービスのデータや、小売店の販売動向などから得られた数字であり、精度の高いものである。仮に税務から推定したGDPが正しいのだとすると、その分の消費はどうなってしまったのか、はっきりしないことになる。

 今のところどちらの主張が正しいのかは分からないが、今回、日銀がこうした問題提起をしたことには大きな意味がある。GDPは経済活動の基礎となる統計であり、政府の経済政策はすべてGDPの結果をもとに決定されている。だが、これほど重要な統計であるGDPがどのようなプロセスで算出されているのか、国民はあまり知らされていない。GDPの算出プロセスについてオープンな議論が行われれば、最終的には統計の信頼性強化につなってくるはずである。

 また最近は全世界的に経済の基本構造が変化している可能性が高く、GDPの考え方そのものについても見直しが必要な時期に来ている。これからの社会においてどのようなGDPが望ましいのが、幅広い形で議論を進めるのがよいだろう。ちなみに、米国では税務データを用いた分配面のGDPが算出されており、支出面との乖離は1%程度に収まっている。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

ニュース速報

ワールド

豪中銀の声明全文

ビジネス

NZ中銀、刺激策の解除急がず=ホークスビー総裁補

ビジネス

中国銀保監会、海外市場のリスク警戒 資本流入増加へ

ワールド

ASEAN、ミャンマー巡り特別会合 ヤンゴンで大規

MAGAZINE

特集:人民元研究

2021年3月 9日号(3/ 2発売)

一足先にデジタル化する「RMB」の実力 中国の通貨は本当に米ドルを駆逐するのか

人気ランキング

  • 1

    リコール不正署名問題──立証された「ネット右翼2%説」

  • 2

    無数の星? いいえ、白い点はすべて超大質量ブラックホール 星図が作成される

  • 3

    ミャンマー国軍が「利益に反する」クーデターを起こした本当の理由

  • 4

    赤ちゃんの手足が真っ青に──コロナ関連小児多臓器症…

  • 5

    なぜドラえもんの原っぱには「土管」がある? 東京の「…

  • 6

    こんなに動いていた! 10億年のプレートの移動が40秒…

  • 7

    新型コロナ関連の小児病MIS-Cで10歳の少年が両手と両…

  • 8

    バブルは弾けた

  • 9

    バイデン政権のシリア爆撃が、ロシア、シリア政府、…

  • 10

    「STOP 112」タイで唱えられる反政府メッセージの意味

  • 1

    屋外トイレに座った女性、「下から」尻を襲われる。犯人はクマ!──アラスカ

  • 2

    バブルは弾けた

  • 3

    中国はアメリカを抜く経済大国にはなれない

  • 4

    がら空きのコロナ予防接種センター、貴重なワクチン…

  • 5

    トランプにうんざりの共和党員が大量離党 右傾化に…

  • 6

    弁護士の平均年収は4割減 過去十年で年収が上がった…

  • 7

    あらゆる動物の急所食いちぎり去勢も? 地上最凶の…

  • 8

    リコール不正署名問題──立証された「ネット右翼2%説」

  • 9

    アメリカの顔をした中国企業 Zoomとクラブハウスの…

  • 10

    ロシアの工場跡をうろつく青く変色した犬の群れ

  • 1

    フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実

  • 2

    ロシアの工場跡をうろつく青く変色した犬の群れ

  • 3

    屋外トイレに座った女性、「下から」尻を襲われる。犯人はクマ!──アラスカ

  • 4

    新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」…

  • 5

    韓国メディアが連日報道、米日豪印「クアッド」に英…

  • 6

    バブルは弾けた

  • 7

    中国はアメリカを抜く経済大国にはなれない

  • 8

    全身が泥で覆われた古代エジプト時代のミイラが初め…

  • 9

    現役医師が断言、日本の「ゆるいコロナ対策」が多くの…

  • 10

    こんなに動いていた! 10億年のプレートの移動が40秒…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

投資特集 2021年に始める資産形成 英会話特集 Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら
World Voice

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!