〔ここに注目〕クルマの価格と若者の所得

 若者の6割がクルマを買いたくないという調査結果が話題となっている。若者のクルマ離れは以前から指摘されていたことだが、最近はその傾向がより顕著になっているのかもしれない。背景にあるのはマクロ経済的な環境変化である。

自動車そのものへのネガティブな意見は少ない

 日本自動車工業会は4月8日、2015年度乗用車市場動向調査の結果を発表した。これは同工業会が2年に1度実施しているもので、定例的な調査に加え、その時に話題となっているテーマについても調査が行われる。今回は若年層の自動車購買動向に関する項目が設定された。

 調査結果によると、クルマを保有していない若者の約7割が「クルマに関心がない」と回答し、同じく約6割が「クルマを買いたくない」と回答している。時系列の調査ではないので、以前がどうだったのかは不明だが、6割が買いたくないと答えているという現実を考えると、若者の購入意欲は低いと判断してよいだろう。

 ただ、購入しない理由を見てみると、必ずしもクルマそのものが嫌いになったわけではなさそうだ。クルマを買いたくない理由として多かったのは「クルマを買わなくても生活できる」「駐車場代などで今まで以上にお金がかかる」「自分のお金はクルマ以外に使いたい」の3つである。

 クルマを買わなくても生活できるという理由を除くと、クルマそのものに興味がないのではなく、お金がかかることを危惧している様子がうかがえる。「環境に悪い」「乗りたい車がない」といった、自動車そのものに対するネガティブな理由は少ないのでの、やはり金銭的な問題が大きいと考えてよいだろう。

 経済的な理由でクルマを買わなくなったのだとしたら、クルマが高くなって手が出なくなったのだろうか、それともクルマを買う余力がなくなったのだろうか。

 このところクルマの値段が上がったという話をよく耳にするようになった。自動車メーカーは、車種やグレードを入れ替えていくので、同じ条件で価格がどう推移したのか検証することはなかなか難しい。また販売の現場では、様々なオプションが組み合わされた形で納入されるので、本体価格がどの程度、上昇しているのかは直感的に分かりにくい。

 ただ、最近では軽自動車でも200万円近くする車種が出てきているという現実を考えると、顧客の購入単価が上がっているのは間違いなさそうだ。

自動車メーカーはグローバル企業だから安く販売できない

 こうした状況は、自動車メーカーの決算や統計にもあらわれている。トヨタ自動車の売上高を販売台数で割った単純平均価格は、1995年3月期には約170万円だったが、2015年3月期では300万円になっている。約20年で1.7倍に上昇した計算だ。総務省の小売物価統計を見ても同一グレード車種の価格は上昇している。クルマの単価は上がっているとみてよいだろう。

日本特有の「中古車嫌い」も影響