コラム

EUとTPPの連携、なぜニュージーランドが主導? その経緯と懸念される困難とは

2025年05月02日(金)12時25分

さらに、政治的な課題だけではなく、どれだけ標準(規範)を合わせたり妥協したりできるかという「標準化」が大きな問題になるに違いない。

「標準化」とは、基本的に各国で異なる規則や慣習等の違い、つまり「非関税障壁」を、国際貿易をしやすくするために、できるだけ共通のものにすることである。「標準化」は一般には注目されにくいが、グローバル化の肝と言えるだろう。思想の異なるEUとアメリカは対立してきた。

日本は今まで、「臨機応変」にEUやアメリカに合わせることをしてきた。例えば成長ホルモン剤を使った牛肉は、日本では、EUの規制と同じく国産牛では使用が禁止されているが、アメリカでは許可されているために同国の方針に合わせて、輸入牛肉では許可されている。

真にTPPとEUの連携が実現するのであれば、おそらくEUの標準化力が、TPPの側に及ぶことになるのではないか。

27カ国の単一市場を創り上げてきたEUの標準化力は大変強く、「ブリュッセル効果」と呼ばれるほど世界に波及効果が高い。このことは今までアメリカを苛立たせてきた。

現在、トランプ大統領がEUのことを「アメリカを欺くために設立された独占的な勢力」とまで言うのは、EUの統合の力と、EUの標準が世界に波及していることへの反発が原因の一つではないだろうか。関税は、不公平な関税そのものが問題であるだけではなく、アメリカの利益にそぐわない「非関税障壁」を撤廃させるための武器であり、その中には「EUの標準」が含まれるだろう。

このことは、深い所でアメリカとの軋轢をいっそう生むことになる可能性がある。防衛でアメリカに頼る日本は、一層難しい選択を迫られる場面が増えることになるかもしれない。

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プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。個人ページは「欧州とEU そしてこの世界のものがたり」異文明の出会い、平等と自由、グローバル化と日本の国際化がテーマ。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使インタビュー記事も担当(〜18年)。ヤフーオーサー・個人・エキスパート(2017〜2025年3月)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』新潮社、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省庁の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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