コラム

日本の石破首相がトランプに主張すべきこと

2025年03月12日(水)12時55分
石破

トランプが聞く耳を持たなかったとしても石破には訴えるべきことがある KENT NISHIMURAーREUTERS

<トランプは称賛を喜ぶ。世界の指導者はカネがかからない称賛が会談を成功に導くかもと考え、ご機嫌伺いをする。それでいいのか?>

ドナルド・トランプは、世界の国々のリーダーたちに2つの途方もなく大きな問題を突き付けている。1つは、彼の心理面での傾向に関わる問題。もう1つは、攻撃的で取引型の単独行動主義と、ロシア寄りの政策(というより、しばしばロシア政府の主張そのもの)を特徴とする国際関係へのアプローチに関わる問題だ。

2月28日、世界はこの2つの問題をはっきり思い知らされた。ホワイトハウスの大統領執務室を訪れたウクライナのゼレンスキー大統領に怒りをぶつけ、ホワイトハウスからたたき出したのだ。


首脳会談の決裂は、アメリカ側がゼレンスキーを不意打ち攻撃した結果だった。これにより、トランプはウクライナへの支援を打ち切る口実を手にできた。

問題はそれだけにとどまらない。この出来事は、アメリカがヨーロッパの安全を守るというコミットメントに事実上終止符を打ち、アメリカ政府がNATOなどの同盟国ではなく、ロシアと国際政治で足並みをそろえる時代の到来を告げるものでもある。これは、第2次大戦以降、最も大規模な国際秩序の転換と言える。トランプは世界を大混乱に陥れたのだ。

プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ノルウェー議会、政府系ファンドの投資倫理指針見直し

ワールド

英予算、大幅増税回避なら「トラス・ショック」再来も

ワールド

サウジの「F-35」大量購入、米国防総省内で承認進

ワールド

中国、24%の対米関税を1年間停止へ 10%の関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 9
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story