コラム

リベラルは何故こんなにも絶望しているのか~「保守」にあって「リベラル」に無いもの

2021年09月22日(水)15時13分

云々である。くり返すように私はこの記事を読んで衝撃を受けた。インタビューを受けた政治学者の岡田氏はリベラル派の学者・言論人として知られるが、その内容はリベラルへの自虐ともとれる内容で、「こんなにもリベラルは自分自身に絶望しているのか」と、私自身保守の立場からショックを受けたのである。岡田氏はどうインタビューの中で、リベラルの誤謬をこう断定する。


「身近な同志たちは、民主国家のルールを平然と無視する政権を有権者が結果的に信任し続けていることへの絶望(後略)」

岡田氏はこう表現している。ここで言う、"民主国家のルールを平然と無視する政権を有権者が結果的に信任し続けていることへの絶望"というのは、すなわち前述第二次安倍政権が7年8か月にわたって続いたことの圧倒的絶望を示すものであろう(菅政権は、衆参における国政選挙の"審査"を受けていないので除くとしても)。

「なぜ、第二次安倍政権のような"民主国家のルールを平然と無視する"政権が、有権者からの信任を受けているのか。やはり私たち(リベラル)は、やり方が間違っていたのではないか」

こういった声を、ここ数年で幾度となく嫌になるほど私は聞いてきた。リベラル系と思われる新聞記者や雑誌記者、言論人や政治家たちは、皆一様にこれと同じか、はたまたこれに準じた「絶望」を語る。「なぜこんなむちゃくちゃな政権(第二次安倍)が国民から信任を受けているのか」。彼らは時として苦渋に満ちた表情で結句として、こう判決する。

「我々リベラルのやり方が間違っていたに違いない」

と。最近はリベラル側からリベラル側の誤謬を指摘するのが流行っているのかもしれないが、とかくこういう論調が多い。「有権者に訴求できない以上、リベラルの戦法は間違いであった」。皆それを言うのだが、保守である私には全く理解できない。なぜ自分たちが間違っていると早々に結論して自虐に走るのか、意味が分からない。

ロッキード時代と相違ない議席数


「この間に、日本の政治家のモラル水準はどんどん低下しつづけた。いつ収賄罪などで逮捕されてもおかしくないような人々が、次々と総理大臣の座についたり、政府、党の要職についたりするようになった。」

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、和平案の枠組み原則支持 ゼレンスキー氏

ビジネス

米9月PPI、前年比2.7%上昇 エネルギー高と関

ビジネス

米中古住宅仮契約指数、10月は1.9%上昇 ローン

ビジネス

米9月小売売上高0.2%増、予想下回る 消費失速を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story