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入管法「改悪」の前に目の前の難民を直視すべき
さらに6月3日、法改正に反対する弁護士グループの記者会見で、柳瀬参与員と話したとする難民支援者が録音データを公開した。そこでは柳瀬氏は「どこの国だって、都合のいい方だけ来てくださいってしてる。主権国家であれば」「何とか今の法案は通してもらわないと」「(入管法を通すためなら)入管庁をプッシュすることはいくらでもする」と発言しているという。「プッシュ」とは、柳瀬氏は法案に中立的な参考人ではなく、入管庁の利益のために行動していることをあからさまに示したものだろう。
こうした発言が柳瀬氏の本心だとすれば、関係省庁と利害関係のある一個人の信念が、多くの人々の人権に関係する法案の改正に影響を与えていることになり、極めて問題があるといえる。他にも柳瀬氏は年間の対面審査について「90数人」と述べており、これは16年間で2000人以上の対面審査を行ったという国会答弁と矛盾する。入管法改正案については事実関係から多くの疑問点が浮上してきており、改めて法案の審議をやり直すべきだ。
日本とはケタ違いの許容力
ところで、柳瀬氏が述べたとされる「どこの国だって、都合のいい方だけ来てくださいってしてる」という発言は、ある意味では正しい。たとえばドイツも、一貫して善意で難民を受け入れ続けていたわけではない。90年代に旧ユーゴスラビアから大量の難民が訪れた際は、難民受け入れを厳しくするなどの対応を取っている。難民政策についての疑問は、極右政治家だけではなく左派の政治家からあがることもある。
しかしそれは、年間の難民受け入れ数が数十人の国ではなく、数万人の国で生じている現象だ。ドイツは少なくとも数万人の移民を受け入れることは、先進国として避けられない義務だと考えている。もちろんドイツだけではなく他のG7も、その国のキャパシティに応じた最低限の移民を受け入れざるをえないと考えている。
難民の数は、2022年には1億人を突破したとされる。数については国際状況によって変動はあるが、これを放置していると世界的な政治不安に直結する。こうした危機感のもとで結ばれたのが難民条約であり、条約に基づいてG7のような比較的豊かな国が難民を受け入れ、国際的な安定に貢献することが期待されているのだ。
一方日本は、そうした難民条約の批准国としての最低限の義務すら果たしていないのだ。だから以前にコラム「入管法「改正」案、成立すれば日本は極右の理想郷になる?」で書いたように、日本はそうした国際法すら無視してしまえと主張する欧州の極右の「王道楽土」という不名誉な地位を手にしてしまっている。
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