コラム

値動きチェックは無駄...「どれくらいの頻度でチェックする?」 経済のスペシャリスト後藤達也が説く「無理なく投資をはじめる」方法

2024年10月31日(木)16時19分

値動きをチェックする頻度は週1回程度で十分

後藤達也

元日本経済新聞記者のフリージャーナリスト、後藤達也氏(「お金のまなびば!」より)

個人が投資信託などをすることは一般的になり、今はスマホ1つで簡単に値動きをチェックできるようになった。ただし手軽になった分、日々の変動に一喜一憂してしまう人は少なくない。

これに対し、後藤氏は「どういう稼ぎ方をしたいかにもよるが、基本的には長い時間をかけて老後の生活資金を確保するための資産形成が主な目的だと思う。だったら、半年や1年のスパンでの変動は全く気にしないほうがいい。時間と心の無駄遣いだから」とバッサリ。

価格変動に気を取られ過ぎて、仕事や家庭、趣味に時間を割けなくなったら元も子もないからだ。

では、どのくらいの頻度で価格変動をチェックするのが望ましいのか。後藤氏は「週1回くらいで十分。私も自分の資産がどうなっているかを見るのは週1回あるかないか」とアドバイスする。

これに対して藤野氏も、「僕もひふみ投信(レオス・キャピタルワークスが運用・販売する投資信託)の自身の資産状況は月1回も見ていないかもしれない」と同意した。

藤野氏は、個人が投資を始めるとき「小さく」「ゆっくり」「長く」続けることを推奨している。

「手に汗をかいてしまう時点ですでにリスクを取りすぎ。人によって手に汗をかく金額は違うので、自分の気持ちと対話することが大事。投資で一番大変なのは日々変動することなので、まずはその状況に慣れることが大事だ」と話す。

そもそも個人投資家が短期で儲けることは非常に難しい。何兆円もの資産や高度なコンピューターを投じているプロのプレーヤーが世界中にごまんといるからだ。しかし、これはあくまで短期に限った話。30年後の株価を予測することは大規模ファンドであっても簡単ではないからだ。

後藤氏は「長期投資ではプロと個人の間にあまり優劣がなく、むしろ個人投資家に分があるかもしれない。プロは何かあると嫌でも売らざるを得なかったり、短期でパフォーマンスを出さなければならなかったりと、制約も多いから。長期なら勝てる可能性が高いことを意識しておけば、『この1か月で損してしまった』と動揺する必要もなくなるはずだ」と指摘する。

リスクを低減させ、より高い運用成績を目指すならば長期的な視点で資産運用を行うこと。初心者でも、知識やお金が不足していても、個人投資家は時間を味方につけることができる。

構成・酒井理恵

●YouTubeチャンネル「お金のまなびば!」

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)、『「日経平均10万円」時代が来る!』(日経BP 日本経済新聞出版)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

株式と債券の相関性低下、政府債務増大懸念高まる=B

ビジネス

米国株式市場=ナスダック連日最高値、アルファベット

ビジネス

NY外為市場=ドル全面安、FOMC控え

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story