コラム

予測不可能で大波乱の英総選挙

2015年04月17日(金)11時43分

 イギリスは過去にも連立政権を経験しているが、従来、僕たちの政治システムは平時の場合は1党支配が基本だった。比例代表制がなく小選挙区制のみで争われるイギリス選挙では、各党は1党支配を目指したがるもの。ライバル政党と連立交渉するような能力は、イギリスの政党のDNAには本来組み込まれていないのだ。

 過去に不安定な連立政権が存在していたときには大抵、政権の主要政党が時機を見て解散総選挙に打って出て、単独過半数を確保しようとしてきた。しかし、2011年に選挙法が改正されて今では総選挙は5年ごとに行われるようになっている。「5年間のうち支配政党にとってもっとも好都合なとき」を狙って選挙をするわけにはいかなくなった。つまり、たとえ5月の総選挙の勝者が曖昧で、その後に混乱の連立交渉と脆弱な連立政権が待ち受けているにしても、僕たちは2020年までその状態を続けなければならない。

 だから、僕があえて予想をするとこうなる――未来のことは、分からない。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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