最新記事
ウクライナ戦争

ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

Ukraine Video Shows Russia's BUK Missile System Annihilated in Blast

2024年4月26日(金)17時52分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ロシアのBuk-M1地対空ミサイルシステム

Degtyaryov Andrey/Shutterstock

<航空機やミサイルなど空からの攻撃を撃退するBUKミサイルシステムだが、1発も発射することなく砲撃によって破壊されてしまった>

ウクライナ軍は4月25日、ロシアの地対空ミサイルシステムBUK(ブーク)を破壊したとする映像を公開した。動画の中でミサイルの発射準備のため方向を調整して位置についたBUK-M1だったが、まさにミサイルを発射しようとするその時にウクライナ軍による砲撃を受けたと見られ、激しく炎を噴き上げて大爆発を起こしてしまう。

■【動画】ミサイル発射寸前、「空白の数秒」を狙ったウクライナ...露防空システムを大爆発させた「砲撃」動画を公開

ウクライナ特殊作戦軍(SOF)報道部はテレグラムのチャンネルで、ロシアのBUK-M1が「ミサイル発射の準備をしていた」ところを破壊したと明らかにした。SOFの第3連隊が、「(戦闘が)最も激しい地域の1つで」偵察活動中に発見したという。

SOFが公開したドローンによる空撮映像は、人気のない野原でBUKが攻撃を受け、激しい爆発が起きて煙が立ち上る瞬間を捉えたものとされる。

本誌はこの映像が撮影された日時や場所を独自に確認できておらず、ロシア国防省にコメントを求めている。

SOFは、「われわれのオペレーターが敵の標的の座標を国防軍のロケット砲部隊に送信した。BUK-M1はロケット弾を1発も発射する間もなく、即座に破壊された」と説明した。

ウクライナ国防省もこの映像をX(旧Twitter)で共有し、「ロシアのBUK-M1はミサイル発射の準備をしていたが、うまくいかなかった。ウクライナの砲兵隊がそれをさせなかった」と述べた。

ウクライナ軍は開戦以来BUKを標的にし破壊してきた

軍事専門サイト「アーミーテクノロジー」によれば、BUKは敵の航空機、ヘリコプター、巡航ミサイル、戦術弾道ミサイル、航空機ミサイル、誘導爆弾に対して、敵の激しい反撃や電波妨害の状況下で展開できるように設計されている。

同システムの改良版であるBUK-M2は、2008年からロシア軍が使用しており、最大24の標的を同時に攻撃することができる。また、3〜45キロ離れた場所から空中の標的を攻撃することが可能だ。

ウクライナ軍は、2022年2月にロシアによる侵攻で戦争が始まって以来、ロシアのBUKを複数破壊したと主張している。

SOFは1月、自軍が1週間でBUK3基を破壊したとする映像を公開した。

ウクライナ東部ドネツク地域付近で、「1週間のうちに敵の防空システム『BUK』3基が攻撃された」とSOF報道部は発表。ロシア軍は、探知・照準ステーション2基を備えた、BUK3基を失ったと述べた。

「SOFの第3特殊部隊連隊のオペレーターが、ロシアの標的に対する国防軍のミサイルと砲兵部隊の砲撃を探知し、調整した。火災損害の結果、ミサイルシステム1基が完全に破壊され、2基が使用不能となり、復旧不能となった」

同報道部は「敵の標的の追跡は続く」と述べている。

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IBM、コンフルエントを110億ドルで買収 AI需

ワールド

EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中