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名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に? アメリカが日本に向ける厳しい目

<名古屋が中国から輸出された麻薬フェンタニルの原料物質の中継点になっているーー。日経新聞の報道とグラス駐日大使のXのポストでこの問題への関心が急速に集まっているが、日本政府のこの問題に対する危機感は薄すぎる> 日本政府は突如、過剰摂取が問題となっている強力な鎮痛剤フェンタニルの中国からの輸出を阻止しようとするアメリカの「麻薬との戦い」の当事者になった。 日本経済新聞は6月末、中国組織が名古屋に拠点をつくり、日本経由でフェンタニルの原料物質を輸出していると報道。ジョージ・グラス駐日米大使はX(旧ツイッター)にこう投稿した。「中国からのフェンタニルやその前駆体化学物質の密輸には中国共産党が関与しており、それを阻止するには国際的な取り組みが不可欠。われわれはパートナーである日本と協力することで、こうした化学物質の日本経由での積み替えや流通を防ぎ、両国の地域社会と家族を守ることができる」 しかし、日本政府の反応は官僚的なものにとどまり、フェンタニル危機に頭を悩ますアメリカにとって満足のいくものではない。加藤財務相は昨年までの6年間、日本の税関ではフェンタニルの不正輸出も不正輸入も1件も摘発されていないとコメントしている。今回浮上したのは、フェンタニルそのものの輸出入ではなく、日本が原料物質の密輸の中継地になっているという疑惑なのだが。 私がアメリカのフェンタニル問題を初めて知ったのは、2015年のことだった。地元である北東部マサチューセッツ州プリマスの女性警察官から「ビーチで死体が発見されることが増えている」と聞かされたのだ。「(フェンタニルの影響による)酸欠で皮膚が青白くなっている」。プリマスは小さな町だが、メキシコからアメリカに密輸されるフェンタニルを北へ運ぶ輸送ルート上に位置していたのだ。 ===== 日本円で10円前後で入手可能 --> 日本円で10円前後で入手可能 フェンタニル危機は、アメリカの歴史上最も多くの人命を奪ってきた危機と言っていい。死者数は13年には3105人だったが、22年には7万人を超えた。18~45歳の層では、今や最大の死亡原因になっている。 2000年以降、強力な鎮痛剤(オピオイド)の過剰摂取で死亡したアメリカ人は100万人を上回るが、その半分以上をフェンタニルが占めている(フェンタニルはオピオイドの一種)。アメリカのオピオイド蔓延には3つの波があった。まず90年代に処方薬の過剰摂取が広がり、次は10年代にヘロインによる死者が急増した。そして3番目が社会的ストレスが高まった新型コロナ期で、ヘロインより安価で致死率が高いフェンタニルが広がった。フェンタニルはわずか2ミリグラムという少量で死亡する可能性があり、しかも4~10セント程度で手に入る(日本円で10円前後)。 今回浮上した疑惑は、日本政府に外交上の問題を突き付けている。ここまでのところ日本政府はいわば官僚答弁に終始し、不誠実な印象を与えかねない。もっと積極的に対応に乗り出すほうがアメリカの反応は好意的になるだろう。 一方、アメリカもこの問題に対するアプローチを根本から改めるべきなのかもしれない。米共和党は、供給サイドをたたくことに力を入れる傾向がある。実際、共和党は中国政府がフェンタニルを「兵器」として利用していると批判し、ラトニック商務長官も就任前の昨年10月に、中国が「フェンタニルでアメリカを攻撃している」と述べていた。 ===== 「需要」の抑制に目を向けないアメリカ --> 「需要」の抑制に目を向けないアメリカ アメリカ政府、とりわけ共和党とトランプ大統領は、私が以前一緒に仕事をした違法薬物対策部門の政府高官の言葉を肝に銘じるべきかもしれない。「アメリカがこの50年間、麻薬戦争で供給を抑え込むべく実行してきた対策はどれ1つとして、末端価格に影響を及ぼしていない。需要がある限り、供給はなくならない」 しかし共和党とトランプは、フェンタニルへの需要を減らすための対策を、リベラル派の好む「WOKE(意識高い系)」のアプローチで「弱腰」だと思っている。外部の悪にかみつくことは、自身の内面の弱点を見つめるよりも簡単なのだ。

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