コラム

組織の最大の問題は、何が本当の問題かを取り違えていることだ

2019年01月29日(火)16時00分

いくら「問題」を解決したつもりでも何もよくならないのはなぜ?ra2studio-iStock.

<日常的に問題と思えることは実は本当の問題ではない、「あるべき姿」から翻って考えよ>

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。企業の単年度の目標予算、中期経営計画の達成を目的に、現場で指導することが仕事です。

仕事のスタイルは、予備校や資格試験学校の講師と似ています。受講者が試験日までに合格できるよう最大の支援をすることが講師の仕事であるように、私たちがコンサルティングする際も、同様の意識で向き合っています。

したがって、できる限り「目標達成」以外に必要のないことに時間を費やしてもらいたくありません。特に昨今は「時短」がキーワードです。組織の重鎮が集まって何も解決しない会議を延々としていたり、あってもなくてもいいようなメールを組織内でぐるぐる回覧しているのを見ると、いい加減やめてもらいたいと思います。

「問題」を言葉の定義から考える

タイトルにもあるとおり、組織の最大の問題は、問題を問題として正しく捉えていないことです。

管理者研修をすると、すぐにわかります。

たとえば参加者である組織マネジャーの皆さんに、

「目標を絶対達成させるうえで、あなたの組織が抱えている問題は何ですか?」と質問してみると、

「部下のモチベーションが上がらないことです」

「組織内のコミュニケーションが活発でないことです」

「営業スキルが足りないことです」

「情報共有が足りないことです」

......など、いろいろと出てきます。グループディスカッションすると水を得た魚のように、現場への会社側の配慮のなさや、部下に対して感じる物足りなさを次から次へと口にします。時間が来て「ストップ」と言っても、なかなかやめないぐらいに盛り上がります。

次に私が、「その問題が解決したら、どのような姿になっているのか。あるべき姿を教えてください」と言うと、とたんに静かになります。先ほどまでの威勢のよさは、すっかり消え失せてしまいます。

「あるべき姿とは、部下のモチベーションが上がっていること」

「理想は、営業スキルが足りていること」

と、問題を反転させて口にする人もいます。

問題とは、あるべき姿と現状とのギャップを指します。問題をただ反転させてもあるべき姿にはなりません。

「貧乏」が問題であれば、「貧乏でないこと」が理想になってしまうのと同様で、あるべき姿がその程度では目指しようがないのです。

つまり、残念なことに多くのマネジャーは問題の本質がわかっていません。

プロフィール

横山信弘

アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長。現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。全国でネット中継するモンスター朝会「絶対達成社長の会」発起人。「横山信弘のメルマガ草創花伝」は3.5万人の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『営業目標を絶対達成する』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者。著書はすべて、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。最新刊は『自分を強くする』。

今、あなたにオススメ

キーワード

ニュース速報

ビジネス

訂正-米ウォルマート、第2四半期利益は予想未達 通

ワールド

イスラエル首相、ガザ停戦交渉の即時再開を指示 攻撃

ビジネス

訂正-米利下げ、差し迫っていない 現在のデータは根

ビジネス

米中古住宅販売、7月は2%増の401万戸 予想上回
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精神病」だと気づいた「驚きのきっかけ」とは?
  • 2
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自然に近い」と開発企業
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 5
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 6
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 7
    米軍が長崎への原爆投下を急いだ理由と、幻の「飢餓…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    ドンバスをロシアに譲れ、と言うトランプがわかって…
  • 10
    フジテレビ、「ダルトンとの戦い」で露呈した「世界…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story