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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ・メルヘン街道開設50周年!グリム童話ゆかりの魅力あふれる地へ その1

Foto ©norikospitznagel 兄ヤーコブ(右)と弟ヴィルヘルム(左)の像。カッセルにて

ドイツ・メルヘン街道開設から今年で50周年を迎えた。人々をおとぎの世界へと誘う、まだ知らない魅力一杯のグリム童話ゆかりの地を巡る旅へようこそ。

ドイツの観光街道といえば

ドイツの観光街道と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「ロマンチック街道」だろう。中世の宝石と称されるローテンブルクや、ディズニー映画『シンデレラ』の城のモデルとして知られるノイシュヴァンシュタイン城など、南ドイツを縦断する全長約400kmのルートは、世界中の観光客を惹きつけてやまない。

一方、北ドイツを舞台に、より幻想的な魅力を放つのが「メルヘン街道」だ。グリム兄弟が生涯をかけて各地を巡り収集した昔話や伝承をもとに紡がれたグリム童話のゆかりの地を巡る、全長約600kmにも及ぶこの街道は、訪れる人々を魅了し続けている。

メルヘン街道とは?

newsweekjp_20250506084946.jpgFoto©norikospitznagel 最終目的地ブレ-メンに到着できなかった音楽隊の記念碑。ブレーメンにて。次回紹介。是非お楽しみに。

ドイツ・メルヘン街道は、グリム兄弟生誕の地ハーナウからこの街道が開設されたシュタイナウ、兄弟が通った大学都市マールブルク、そしてメルヘン街道の首都カッセルを経由し最終目的地のブレーメンへと続く道のりだ。約70の加盟都市を結び、童話の世界を現実に体験できる観光ルートとして、多くの人々に愛されている。

道中には、物語にちなんだモニュメントや博物館、キャラクターグッズを扱うショップなどが点在しており、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめるよう工夫されている。

これから2回にわたり、グリム童話ゆかりのスポットを紹介していきたい。訪れたことのある街、聞いたこともない街まで、きっと驚きの発見があるはず。

今回巡るスポット

今回は、シュタイナウ、マールブルク、バート・ヴィルトゥンゲン、カッセルを巡ってみよう。どの街にもグリム童話の足跡が残り、魅力あふれるスポットが広がっている。

newsweekjp_20250507081008.jpgFoto©norikospitznagel マールブルクの市庁舎前にて。グリム兄弟もこの夜景を目にしたのだろうか。

メルヘン街道が開設されたのは、今から50年前。ドイツ・メルヘン街道協会の専務理事、ベンヤミン・シェーファー氏は、当時の構想をこう語っている。

「グリム兄弟の足跡をたどるルートを作り、童話とともに観光資源として売り出していこうというアイデアは、何度も議論を重ねる中で生まれました。そしてこの街道が誕生したのです」

50周年を記念して街道沿いの各都市では、無料の市内観光ツアーや特別イベント、地域独自のキャンペーンなどが開催され、例年以上のにぎわいを見せている。

1.幼少期を過ごした街シュタイナウ・アン・デア・シュトラーセ

シュタイナウ・アン・デア・シュトラ―セ(Steinau an der Strasse)は、生誕地ハーナウから移り、グリム兄弟が1791年から96年まで幼少期を過ごした街。木組みの街並みと静かな雰囲気があり、観光客も比較的少なくゆっくりと街歩きを楽しめる。

人口約1万人の可愛らしいこの地は、兄弟が多感な幼少期を過ごした思い出の地。ここにある「グリム兄弟ハウス」は、この兄弟に捧げられた最大級の博物館で、見逃せないスポットだ。市内には幻想的な童話の泉や、ルネサンス初期のシュタイナウ城が美しく保存されており、訪れる人々をおとぎ話の世界へと誘う。

さらにVR(バーチャル・リアリティ)体験を通じて、19世紀初頭のシュタイナウへとタイムスリップするのはいかがか。グリム兄弟の子ども時代が蘇り、50周年ならでは特別な思い出となるに違いない。

次は大学都市マールブルクへ

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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