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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

ドイツ・メルヘン街道開設50周年!グリム童話ゆかりの魅力あふれる地へ その1

4.童話の記憶を未来へつなぐ街カッセル

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©norikospitznagel

カッセル(Kassel)は、グリム兄弟ヤーコブ(1785-1863)とヴィルヘルム(1786-1859)が童話集を初めて出版した歴史的な街。兄弟は生涯の大半(約30年)を過ごし、童話集を編集した重要な拠点であることからメルヘン街道の首都と言われる。

特に注目したいのは「グリムヴェルト(Grimmwelt)」。ここにはユネスコ世界記録遺産に登録された初版本や、グリム兄弟自筆の手紙や原稿などが展示されている。

また兄弟が最初に編纂を手がけた「ドイツ語大辞典」など貴重な資料も展示されている(注・兄弟の死後、他の学者や研究者が引き継ぎ、同辞典を完成させた)。

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Foto©norikospitznagel グリム家ファミリーヒストリーの展示

newsweekjp_20250507082412.jpgFoto©norikospitznagel 伝承昔話を収集したメモを象徴した展示

グリム童話として知られる作品、「子供と家庭のメルヒェン集」は、兄弟がドイツの伝承昔話を後世に残したいと考え、昔話を収集し、それを編集したもの。初版では、日本でもお馴染みの「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」「ブレーメンの音楽隊」など 156編が収められている。

また、あまり知られていないが、この童話集で挿絵を担当した画家の末弟ルードヴィッヒに関する展示もある。館内には映像や音声で楽しむ展示も多くあるため、子供も大人も飽きることなく閲覧できる。

次回は、ハン・ミュンデン、ゲッティンゲン、ハーメルン、そして北の最終地点ブレーメンを巡りたい。

 

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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