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ドイツの街角から

シュピッツナーゲル典子|ドイツ

最新作は180万円の「鯉」 ベース製作の革命児イェンズ・リッター氏に聞く

リッター氏は、ドイツワイン街道沿いの街ダイデスハイムに自宅と工房を構え、ここから世界の客へ作品を送り出している。従業員2人と共に4弦、5弦、7弦のベースを主に製作。依頼があればギター(6弦)も手がける。年間製作数は80本ほど。ベースを作り始めて今年で約25年。これまで2000本ほど製作した。

03germany.JPGショールームにてリッター氏。2年前の取材時に撮影(c)norikospitznagel

「リッターベース」の特徴は、一度目にしたら忘れられないシェイプと木目の美しさ、極限まで滑らかな流線型ボディと優れたサウンドだ。

人気の秘密は「すべて手作りで世界に一つしかない楽器」が大きな理由だ。それがトップミュージシャンの購買意欲をかき立てた。クチコミで話題を集めるようになると、「リッターベース」を注文する客が続出した。

作品は注文を受けてから製作するため、「完成まで最低1年半は必要だ」という。価格は1本7,000ユーロ(88万円)からで、上限はない。

木材は国内外のマホガニー、アルダー(ハンノキ)、メイプル(カエデ)などを使う。「ベースのボディ(本体)用木材は、音色を左右する重要なカギ」と力説するリッター氏だ。

「木材はバランスよく乾燥させることが重要なカギ。良いサウンドを得るため、自社ではバキューム法で木材を乾燥させています。この方法だと、20年乾燥させた木材よりもよいものが出来上がるのです」 

「顧客とはメール交信、フェイスタイムやスカイプでコンタクトをとります。作品の製作過程を写真にとり、随時客に送ります。それを見ながら意見を交換し、頻繁に連絡をとりあっています」

作品はリッター氏が自ら持参して届けることが多い。時にはプライベートジェットで訪独し工房まで足を運ぶ客もいるという。客層はプロプレイヤーやコレクターが中心。米国からの依頼が7割ほど占め、ドイツ、英国、日本と続く。米国と日本にはリッター氏のファンクラブもあるという。

「ソロベーシストは、サウンドにとてもこだわり、透き通ったようにクリアでしかもダイナミックなサウンドを求めます。その要望に応え、世界に一つしかないデザインもサウンドも最高の作品を製作します」(リッター氏)

ちなみにレディー・ガガ特注のエレキギターは、スワロフスキークリスタルを11,000個はめこみ、24カラットゴールドを装飾したもので、48,000ユーロ(約610万円)だった。かつてダイヤモンドや純金をふんだんにあしらった1,000万円のベースも製作したという。

木材遊びから始まったサクセスストーリー

Profile

著者プロフィール
シュピッツナーゲル典子

ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。

Twitter: @spnoriko

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