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パスタな国の人々

宮本さやか|イタリア

ワクチン接種率はようやく20%、感染者も死者数もまだ多い、なのにロックダウン解除のイタリアの行方。

一方イタリアでは4月23日の段階で1回接種が終わった人がようやく20%、2回接種に至ってはまだ10%に達していない。1回接種をした20%の内訳を見ても、そのほとんどが80歳以上の高齢者ばかり。重症化し亡くなるリスクを回避できるとはいえ、外にもっと出て活動する70歳代になると1回接種は35%、2回接種しているのはたったの4,8%でしかない。さらに、現役世代で、かつ、重症化の心配がほとんどないとは言えない40歳〜60歳代はほとんどまだ接種が進んでいないのだ。

政府の言い分や、解除賛成派の意見は当然「国民は長く我慢をしすぎて疲弊している。経済もこれ以上の休業には耐えられない」というもの。その通りだ。いつまでも休業をさせられることに反対する抗議運動なども各地で起きている。でも、だからと言ってワクチン接種が進んでいないまま、無策で行動規制を解除するのはあまりに乱暴ではないだろうか?

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3月、ローマのあるレストラン。(写真:iStock/PhotoBeto)

チグハグなドラギ・コロナ対策


「レストランは営業してよし、ただし外の席のみ。外の席がない店はどうしたらいいのだろう?」

「夜も営業してよいが、外出禁止令が22時からアクティブになる、つまり遅くとも21:30分ごろには帰り仕度を始めなければいけないが、イタリア人が夕食を食べ始めるのは20時前後と遅い。まともに食事をする時間はないじゃないか」

「劇場やコンサートも、外出禁止令22時というのがある限り、再開は現実的ではない。5時や6時に始めなければ時間までに終われないが、そんな時間は、まともな社会人ならまだ仕事をしているからだ」

こんなふうに、ドラギ政府のコロナ対策はチグハグな印象だ。私の周りでは「ドラギは経済を立て直そうと張り切って登場したのに、やらされるのはコロナ対策ばかり。支持率もどんどん下がっているから、もう諦めてロックダウン解除、みんな感染して集団免疫つければいいって思ってるんじゃないの?」なんてブラックジョークが囁かれている。

そんなジョークの陰には、大きな不安が隠れている。イタリアには、迂闊に解除したばかりに大変なことになった失敗例があるからだ。サルデーニャ島だ。

Profile

著者プロフィール
宮本さやか

1996年よりイタリア・トリノ在住フードライター・料理家。イタリアと日本の食を取り巻く情報や文化を、「普通の人」の視点から発信。ブログ「ピエモンテのしあわせマダミン2」でのコロナ現地ルポは大好評を博した。現在は同ブログにて「トリノよいとこ一度はおいで」など連載中。

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