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平野美紀|オーストラリア

シドニー・ハーバーブリッジを封鎖!30万人規模の歴史的パレスチナ攻撃反対デモ

デモに参加するためにシドニー中心部に続々と集まる人々。2025年8月3日午前11時30分頃(筆者撮影)

先週の日曜日(8月3日)、シドニーの中心部で大規模なパレスチナ攻撃反対デモが行われた。

これまでにも度々、親パレスチナ派の人々による抗議デモが行われてきたが、今回は、シドニーのシンボルのひとつでもある「ハーバーブリッジ」を全面封鎖。中心部のライトレール(路面電車)やバスの運行を停止する措置をとるなど、格段に規模が大きいものであった。

このデモが行われることに合わせ、在シドニー日本国総領事館からは「不用意に抗議活動等が行われる場所その他影響が懸念される場所には近づかないように」とのお達しがだされたが、タイミングの悪いことに、私はこの日にシドニーでのロケが入っており、行かざるをえない状況だったため、このデモの影響をおもいっきり被ってしまった。

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在シドニー日本国総領事館からの注意喚起メールの該当部分。

ロケの集合時間は午後12 時30分。デモは午後1時からの予定だったが、午前11時30分には「ハーバーブリッジを全面通行止め」にするという情報が州政府交通局から流れてきたため、ブリッジの北側からバスで向かうしか中心部に入る手段のない私は、11時30分前までには中心部に到着しなければならず、予定が大幅に狂ってしまったのだった...

しかも、当日は雨。ときおり、台風並みの強風を伴う冬の嵐のような悪天候で、ただでさえ道路が混雑するところへ、ハーバーブリッジが封鎖されてしまうために午前中から大混乱となっていたが、中心部に続々と集まってくる人の数は想像を遥かに超えていた。

オーストラリア史上最大の政治デモ

今回のデモは、当初9~10万人と発表されていたが、実際には、この数を大きく上回る人々が集まり、約30万人にも及んでいたことがわかった。

デモ終了後、主催者は、「警察は10万人と推定されると発表したが、有志たちが30万人は集まった」と発表。後日、専門家による分析でもこの数はほぼ妥当であることが結論付けられた。セントラル・クイーンズランド大学の群衆安全管理の専門家であるアルド・ライネリ博士がドローンなど複数の映像を分析した結果、「225,000〜300,000人」と、主催者発表とほぼ同じ数が導き出されたのだ。(参照

ハーバーブリッジを渡る群衆を空撮したドローン映像を含むニュース映像(Guardian Australia公式YouTubeより)

このデモは、中心部北寄りにあるラング・パークに集合し、緑の党のメリーン・ファルキ上院議員、先住民俳優のメイン・ワイアット氏、元オーストラリア代表で年間最優秀選手のクレイグ・フォスター氏らが演説を行った後、雨が降る中、午後1時30分に出発。中心部北側にあるシドニー・ハーバーブリッジへ向かって行進した。

デモに集まった群衆の中は、ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏、元外務大臣ボブ・カー氏、連邦労働党議員エド・フシック氏など著名人の姿も見られ、オーストラリア国立博物館が、「オーストラリア史上最大の政治デモ」と呼ぶほど大規模なものであったことがわかる。

デモが終わって数時間経っても、バスの運行が再開されないため、私は電車でブリッジの北側へ移動させざるをえなかったのだが、電車の中では、いかにこのデモが歴史的であったか、についての議論が(たまたま居合わせた人たち同士の間で)展開されていた。

「オーストラリア史上最大の政治デモ」として大勢の人々が行動を起こすきっかけとなったパレスチナ及びガザ地区問題。世界での注目度とは裏腹に、この歴史的デモについて報道している日本のメディアは、NHKAFP通信の日本語翻訳記事を配信した時事通信だけのようだった...〈了〉

 

Profile

著者プロフィール
平野美紀

6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。

Twitter:@mikihirano

個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/

メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/

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