12万人が関与、起源は台湾...中国「詐欺組織」が東南アジアで巨大化した理由

TADAMICHI/SHUTTERSTOCK
<突如、注目の高まったミャンマー拠点の「特殊詐欺」グループ。中国系組織によるグローバルな詐欺事件で、日本人もターゲットに含まれる。彼らは一体、何者なのか>
北朝鮮と国境を接する中国吉林省延辺州の町に「オレオレ詐欺」の取材で行ったことがある。2018年の暮れのことだ。日本のテレビディレクターを連れ、「高額報酬のアルバイトがある」という募集に乗ったふりをして渡航し、潜入取材を敢行した。詐欺グループのアジトはマンションの一室だった。
オレオレ詐欺など電話やインターネットを使って行う「特殊詐欺」。その特殊詐欺の犯罪グループに今年1月、タイで失踪していた中国人俳優が拉致されていたことが分かり、中国で大ニュースになった。
国境を超える特殊詐欺はこれまであまり注目されてこなかったが、これをきっかけに大規模な摘発が行われ、中国系詐欺組織が拠点を置いていたミャンマーから約7000人が救出された。日本の高校生も2人、日本とタイ当局の尽力で保護され、1~2月に帰国している。
2023年の国連の報告によれば、ミャンマーにある中国系詐欺組織には中国人を中心に少なくとも12万人が関わっていた。出身国は20カ国以上という多国籍の組織が、東南アジアから日本を含む世界中に国際電話をかけていたのである。にわかには信じ難い規模のグローバルな詐欺集団だ。
では、その犯罪組織はどのようにして誕生したのか。その歴史と実態を簡単に紹介しよう。
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