最新記事
映画

中国警察からの一本の電話が......特殊詐欺に1億5000万円をだまし取られた初老男性の驚愕の実話

2025年3月21日(金)20時15分
大橋 希(本誌記者)
『ジェリーの災難』

全財産を失った詐欺被害は一本の電話から始まった © 2023 Forces Unseen, LLC.

<自らの経験を「半分ドキュメンタリー、半分スパイスリラー」のような主演映画『ジェリーの災難』に仕立てたジェリー・シューが語ったこと>

警視庁捜査2課の××です。あなたに大阪府警管轄下で起きた詐欺事件の嫌疑がかかっています。

イケダ キヨマサ38歳が逮捕され、自宅から楽天銀行のカード4000枚が押収され、その中にあなた名義のカードがありました。いまお話よろしいでしょうか。捜査に関わることなので、個人情報を確認させてください。周りに人がいない場所に移動していただけますか――。

映画『ジェリーの災難』予告編

これは筆者が昨年11月に受けた電話。警察に聞いたところ、楽天銀行の口座は危ないので××の口座に資金を移してください、という話に持っていかれるそうだ。


昨年、日本における特殊詐欺の被害額は過去最悪の721億円以上、今年1~2月だけでも106億円以上に上ったという。オレオレ詐欺や警官をかたる詐欺などさまざまな手口がある。

高齢者を中心に被害が広がっているが、これはもちろん日本だけの話ではない。

例えばアメリカで大変な額の被害に遭った、年金暮らしをしていたジェリー・シュー。特殊詐欺にだまされ、退職金を含む全財産98万ドル(約1億5000万円)を失った。

この事件をジェリー自身の主演・脚本で映画化にしたのが、日本公開中の『ジェリーの災難』だ。息子のジョン・シューがプロデューサー、ジョンの友人であるロー・チェンが監督を務めている。

定年退職した69歳のジェリーは妻と離婚し、3人の息子とも離れて暮らしていた。ある日、中国警察から緊急の電話があり、国際的なマネーロンダリング事件で自身が第一容疑者になっていると知らされる。逮捕して中国に強制送還すると告げられたジェリーは、中国警察のスパイとして事件の捜査に協力させられることに。数カ月間、この潜入捜査について隠していたが、ついに家族に全てを打ち明けて――。

大変な事件を映画にした経験について、ジェリーと息子のジョン、ロー監督に本誌・大橋希が話を聞いた。

――今は生まれ故郷の台湾に戻っているが、そちらの生活はどうか。

とても便利で快適な生活を送っている。食べ物は美味しいし、どこへ行くにも交通の便が良く、自分で運転しなくてもいいからその点でも楽だ。僕は料理が好きなので料理もするし、教会に通ったり、高齢者向け無料ジムを利用したりしている。

収入については、アメリカの社会保障に入っていたため年金が毎月支給されている。決して贅沢な生活ではないが、まあまあ普通に暮らしている。

キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 6
    1700年続く発酵の知恵...秋バテに効く「あの飲み物」…
  • 7
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下にな…
  • 8
    【テイラー・スウィフト】薄着なのに...黒タンクトッ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中