コラム

石丸伸二氏のような政治家の「一方的な発言戦略」に要注意

2024年07月30日(火)13時10分
西村カリン(ジャーナリスト)

本人のYouTubeチャンネルの政治活動動画を見ても、政策の説明はほとんどない。選挙戦最終日の7月6日に東京駅前で行われた演説の動画は3分42秒あるが、「人生の使い道が見つかった」「ここに来れて本当によかった」といった内容ばかりで、政策については0秒だ。ほかの動画も政策を語らないものが多いにもかかわらず、褒めるコメントばかり。何に基づいてこうした政治家を応援しているのか疑問だ。

石丸氏のような政治家が取っているのは、極端な「一方的発言」の戦略、いわばプッシュ型政治活動だ。YouTubeやTikTokを最大限利用し、インタビューに応じる際には記者を怒ったりばかにしたりして、それも関心を集めるためのコンテンツとして使う。記者会見では記者に不満を言い、威嚇する場面もある。ただしこういった戦略を選んだ政治家は、厳しく追及されると弱さが明らかになる。

日本で足りないのは、マスコミの調査能力と国民の政策に対する関心ではないかと思う。大手メディアと政界は記者クラブを通して「ウィンウィン関係」をつくってしまった。石丸氏のように記者を敵扱いしがちな新タイプの政治家に対して、同じような対応の仕方は無理だろう。ウィンウィンでも、単なる敵でもなく、記者が追及すべきことを追及できるように、取材の仕方などを変えることが必要だと思う。

つまり、一方的な発信に対抗する力(マスコミや、国民の関心・意識)のある環境ができると、政治家の本音が出て、問題点が可視化される。国民の知る権利を保障できるのは、まさにその環境だと思う。

magTokyoEye_Nishimura.jpg西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『フランス人記者、日本の学校に驚く』など。Twitter:@karyn_nishi

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