米韓を反面教師に、日本政治が目指すべき「ちょうど良いところ」
こうしてみると、私が長く住んだ国の中では二極化の激しいほうからアメリカ、韓国、日本という順番なのかもしれない。日本は韓米ほど政治が二極化されていない分、政党や政治グループが互いに敵視し合いながら、味方の行為を極端に擁護する構図はそれほど顕著ではない。またデマを政治的に利用し、分裂を助長して支持を増やそうという政治家の動きもまだ小さい。日本でも、もっと市民の政治への関心が高まったほうが政治に緊張感が出て良いと思う。一方で、こうした良さは消えないでほしい。
日本国籍の長女は最近18歳になり、ついに日本で選挙権を持つようになった。本人も、今年中に行われる衆院選で初めて投票するのを楽しみにしている。日本の政治には、現状よりは与野党が対等に競って活気をもたらしつつ、それでいて家族・友人同士でけんかになるほど対立はしない程度の「ちょうど良いところ」を、外国の事例も参考に目指してほしいと思っている。
李 娜兀
NAOHL LEE
国際交流コーディネーター・通訳。ソウル生まれ。幼少期をアメリカで過ごす。韓国外国語大学卒、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得(政治学専攻)。大学で国際交流に携わる。2人の子供の母。
<2021年2月2日号掲載>
2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿
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