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広がるAI関連物色...日本企業に追い風も相場反転リスクが台頭

2025年11月13日(木)19時30分

インフラ関連も物色

こうした中、物色の矛先は半導体製造に直接関わる企業だけでなく、データセンター向けのインフラや半導体素材などに関連した銘柄群にも及んでいる。アドバンテストやフジクラといった「先行」銘柄群の株価収益率(PER)はすでに高まっているが、足元で空調、送電、建設にも買いの手が広がる。

複雑な計算が必要な生成AI向けのデータセンターには安定した電力供給や強力な冷却設備が必要となる。送電網設備の更新需要が堅調なことを背景に業績見通しを引き上げた日立製作所の年初来パフォーマンスは35%超高と、日経平均(同28%超高)を上回る。データセンター向けの送配電設備事業を手掛ける富士電機も業績予想を上方修正、株価は同29%超高となっている。

空調大手のダイキン工業は海外のデータセンター向け機器が好調で、業績予想を引き上げた。

電気工事を手掛けるサブコン銘柄にも物色が向かっている。関西電力などから受注を受けるきんでんは好決算を公表後、大幅高となった。

立花証券のアナリスト・島田嘉一氏は「データセンターの建設に適しているとされる東北地方で設備工事業を手掛けるユアテックも注目される」と指摘する。東北電力がデータセンター誘致に動いており、「実際に誘致が実現すれば(送電工事を)受注するとの期待につながるのではないか」(島田氏)という。   時価総額が相対的に小さい銘柄にも資金は向かっている。プラスチック主軸の高機能デバイス事業を手掛けるエンプラスの株価は年初来92%上昇している。岡三証券のシニアストラテジスト・大下莉奈氏は「AI需要の高まりで、足元では半導体関連が伸びていると言及する部材メーカーが目立つ」と話している。   こうした物色の広がりについて、岩井コスモ証券の投資調査部部長・有沢正一氏は「『期待』だけではなく業績に基づいた『実弾』的な買いが入っている」との見方を示す。「日本の主力株はAIのインフラに絡んでいる企業も多い。AIは息の長いテーマで材料も豊富なため、循環的に買われる下地はできている」(GCIアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー・池田隆政氏)との声が聞かれる。

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