トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...米メディアが指摘する日本の「したたかさ」
NOT AN EASY TARGET
円安については共通認識
確かに大幅な円安は、日本の多国籍企業が利益を確保するのを助けてきたが、同時に急激な物価上昇を引き起こしてきた。4月の消費者物価は、日本銀行の2%目標を大きく上回る3.4%の上昇だった。約30年にもわたり安定した物価(それどころか一部下落)に慣れ親しんできた消費者にとっては、大きな不満の種になっている。
では、日本はトランプ政権との交渉で、何を譲歩すればいいのか。容易に考えつくのは、輸入米の拡大だ。日本ではこの1年、米の小売価格が2倍に跳ね上がっているため、輸入米の拡大は消費者にも理解されやすい。トランプ政権にとっても、日本の伝統的な聖域を打ち崩した大勝利としてアピールできる。
一方で、日本でアメリカ車(アメ車)の販売が振るわないことが問題になれば、厄介なことになるかもしれない。この問題はアメリカの歴代大統領も取り上げてきた。
故安倍晋三元首相の『安倍晋三 回顧録』によると、バラク・オバマ元米大統領は2014年の訪日時に、「アメリカの車を(街中で)1台も見ていない。何とかしてもらわないと困る」と安倍に迫ったという。安倍は「アメ車に関税などかけていない」と反論したが、オバマは「非関税障壁があるから、アメ車が走っていないのだ」と詰め寄ったとされる。