最新記事
日米関係

トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...米メディアが指摘する日本の「したたかさ」

NOT AN EASY TARGET

2025年5月20日(火)14時20分
ウィリアム・スポサト(ジャーナリスト)

日本でアメ車が走っていない理由はたくさんある。日本の自動車販売台数は年間440万台と世界第4位だが、このうち35%は狭い通りを走るのに適した低出力の小型車や小型トラックであることもその1つだ。

いずれにしろ、日米交渉の結果、なんらかの合意がまとまるのは間違いない。交渉決裂という選択肢は、アメリカにも日本にもあり得ないからだ。そして日本の官僚が関与するときの典型的な発表がなされる。すなわち、アメリカが勝ったような印象を与える報道が飛び交い、大規模投資計画が発表される。ただ、最終文書をよく読むと、日本経済や輸出業者にほとんど影響はない......。


一部の日本の経済学者は既に、貿易合意は見かけ倒しに終わるとの予想を示している。「日本に対する関税措置の影響は限定的に抑えられる可能性がある」と、千葉大学の伊藤恵子教授は最近、記者団に向けて語った。従って、コロコロ変わる「アメリカの関税政策に振り回される」べきではないというのだ。

それよりも大きな問題は、世界的な景気後退リスクだと伊藤は考えている。「もっと心配なのは、世界的な貿易の縮小だ。そうなれば世界経済の停滞につながる恐れがある」

Foreign Policy logo From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 関税の歴史学
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月27日号(5月20日発売)は「関税の歴史学」特集。アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応――歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

韓国ウォンが急上昇、米国が通貨高対策要求と報道

ワールド

トランプ氏長男、将来の大統領選出馬に含み

ビジネス

日銀、債券市場会合を終了 26年4月以降の買入計画

ワールド

再送-安定した価格でコメ供給、備蓄米の随意契約を活
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 9
    トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...…
  • 10
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 5
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 9
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 10
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中