トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...米メディアが指摘する日本の「したたかさ」
NOT AN EASY TARGET
だが、日本には強力な切り札がある。外貨準備の大部分を占めるとされる1兆1260億ドルの米国債だ。日本は世界最大の米国債保有国で、第2位の中国の保有額(7840億ドル)を大きく引き離している。日本政府高官らは当初、米国債を売却するつもりはないと主張していた。
自民党の小野寺五典政務調査会長は4月13日、「同盟国なので、アメリカの国債を意図的にどうするかを政府として考えることはない」と語った。だが、加藤勝信財務相は、米国債の売却は「(交渉の)カードとしてはある」と述べたことがある(後日、「米国債の売却を日米交渉の手段とは考えていない」と改めて強調したが)。
日本政府は過去にも、米国債の売却をちらつかせたことがある。アメリカで日本製の自動車やテレビが売れまくり、日米貿易摩擦が悪化していた1997年6月、当時の橋本龍太郎首相は米コロンビア大学での講演で、「われわれが財務省証券を売って金に切り替える誘惑に負けないよう」、アメリカも協力的な姿勢を示してほしいと発言し、市場を仰天させた。
今回の日米交渉で、どちらにとっても恩恵になる合意がまとまる可能性はある。例えば、現在の円安が行きすぎである点では、日米の認識は一致している。