トランプは日本を簡単な交渉相手だと思っているが...米メディアが指摘する日本の「したたかさ」
NOT AN EASY TARGET
なにより日本は、アメリカの核の傘を必要としている。中国の軍事力が拡大するなかでは、なおさらだ。
自動車業界がターゲットになっていることも日本にとっては問題だ。日本の自動車メーカーはよく、「われわれは既にアメリカのよき企業市民だ」と主張する。実際、616億ドル以上を投じてアメリカに工場を建設した結果、アメリカで生産される自動車の3分の1以上が日本のブランドになった。
米有権者に分かりやすい標的
だが、日本の自動車メーカーの北米における売り上げのかなりの割合を、今も輸入した部品や車が占める。日本の対米輸出の約30%は自動車や自動車部品だ。これには年間150万台の自動車が含まれる。
それだけに25%の追加関税なんてあり得ないと、日本側は考えてきた。だが、自動車業界は米政府にとっても重要分野だ。日本車は1970年代以降、米市場で圧倒的な成功を収めてきたから、有権者にとって分かりやすいターゲットでもある。
トランプ政権には、「チキンタックス」という前例もある。63年にヨーロッパが安いアメリカ産鶏肉に関税をかけたところ、米政府が小型トラックなど4品目に25%の関税を課した。世界中で大人気のトヨタ自動車のピックアップトラックを、アメリカでほとんど見かけることがないのは、このためだ。