カンボジア前首相への「おじさん」発言で国内反発...タイ首相を襲う「司法クーデター」
Turbulence in Thailand

内閣改造でペートンタンは文化相を兼務し、政権内にとどまろうとしているが(7月3日) AP/AFLO
<ぺートンタン・シナワット首相は、カンボジアのフン・セン前首相との私的会話が流出し、一時的に職務停止に。政治的混乱が続くタイで新たな火種となる>
タイの憲法裁判所は7月1日、ぺートンタン・シナワット首相の解職を求める申し立てを受理し、判決の言い渡しまで職務停止を命じた。
5月28日にタイとカンボジアの国境地帯で両国の軍部隊が衝突して以来、両国関係は著しく悪化。ペートンタンは6月15日にカンボジアのフン・セン前首相と電話で対応を協議したが、その音声が18日に流出。
ペートンタンの発言が憲法に定められた倫理規定に違反しているとして、保守派の上院議員36人が解職を申し立てていた。
憲法裁判所は申し立ての受理を9人の判事の全員一致で承認し、7対2で職務停止を決定した。ペートンタンは日以内に弁明を提出する。職務停止中はプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相が職務を代行する。
ペートンタンは家族ぐるみで親交が深いフン・センを「おじさん」と呼び、おもねるようなやりとりがあったと批判された。
フン・センの求めに「何でも応じる」と約束し、タイ軍の有力司令官は自身の政敵と「完全に同調している」と非難するなど、タイ国内で高まっている反政府感情を逆なでした。