最新記事
カリブ海

【米中覇権争い】アメリカの「戦略的要衝」カリブ海でも高まる中国の影響力、「キューバ危機」の再来も!?

CREEPING CLOSER

2024年6月14日(金)13時26分
ディディ・キルステン・タトロウ(国際問題担当)

newsweekjp_20240613023020.jpg

セントジョンズに中国が建設した商業用海運港 DIDI KIRSTEN TATLOW

借金漬けになる「一帯一路」

本誌はアンティグア・バーブーダ財務省に具体的な数字を問い合わせたが、返答はなかった。

だが資料によると、22年までの中国からの融資額は1億7600万ドルで、その後も増えている(メルフォード・ニコラス情報相が本誌に語ったところでは、北京で合意された水道管更新事業でも約6000万ドルの融資が約束された)。

この国の国民1人当たりGDPは年1万9300ドル程度だが、中国からの借金は1人当たり2400ドル以上という計算になる。

中国は「一帯一路」構想で世界中にプレゼンスを広げてきたが、相手国を借金漬けにして植民地化しているに等しいとの批判がある。いい例がアジアのラオスやスリランカ、さらにアフリカ諸国などだ。中国は、いずれも「ウィンウィン」の協力関係だと反論しているが。

カリブ海諸国における中国のプレゼンス拡大は、アメリカにとって厄介な事態である。

「大胆な動きだ。カリブ海はアメリカにとって戦略的に重要な地域だ」と言ったのは、カンタベリー大学(ニュージーランド)のアンマリー・ブレイディ教授(国際関係学)。

中国は他の地域でも同じように小さな島国を取り込み、習はロシアのウラジーミル・プーチン大統領とも巧みに連携し、「毛沢東とスターリンが果たせなかった夢」の実現に向かっている。

米南方軍司令部によると、過去5年間に中国は東カリブ海での外交で「大成功」を収めている。「西半球での商業活動を可能にするため、東カリブ海に大規模な物流拠点を求めているのだろう」

アメリカ人なら、カリブ海といえば白い砂浜と青い海、新婚旅行、ラム酒、スパイシーなジャークチキンを連想するかもしれない。だが中国はもっと大きな価値を見いだしているのだと、ペンシルベニア州カーライルにある米陸軍大学校戦略研究所でラテンアメリカを担当するエバン・エリス教授は言う。

「中国はカリブ海を戦略の要衝と見なし、過度にアメリカに警戒させることなく支配力を広げたいと考えている」と、エリスは本誌に語った。ドミニカ、グレナダ、バルバドス、そして「ある程度は」ジャマイカにまで友好の輪を広げているという。

もちろん「アメリカも注視してはいるが、首都ワシントンで警報が鳴るほどではない。少しずつ、目立たぬように影響力を増しているからだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

透析・手術用の品目、「安定供給図る体制立ち上げた」

ワールド

トランプ氏、NATOへの関与に否定的発言 集団防衛

ワールド

北朝鮮が固体燃料エンジンの地上燃焼実験、金総書記が

ワールド

ウクライナ大統領がUAE・カタール訪問、防衛協力で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中