ユーロ圏GDP、異常気象で5%減の可能性 ECB幹部が警告

欧州中央銀行(ECB)幹部のリビオ・ストラッカ氏は9日、異常気象がもたらす熱波や洪水、山火事などがユーロ圏の域内総生産(GDP)を今後5年間で約5%押し下げる可能性があるとの見解を示した。写真は交流サイトに8日投稿された、仏南西部ナルボンヌでの山火事を撮影した動画のスクリーンショット(2025年 ロイター/@anthoenduro/via REUTERS)
[ロンドン 9日 ロイター]) - 欧州中央銀行(ECB)幹部のリビオ・ストラッカ氏は9日、異常気象がもたらす熱波や洪水、山火事などがユーロ圏の域内総生産(GDP)を今後5年間で約5%押し下げる可能性があるとの見解を示した。自身が加わる「気候変動リスクに係わる金融当局のネットワーク(NGFS)」の最も極端なシナリオに基づいた分析で、世界金融危機や新型コロナウイルス禍に匹敵する影響規模になると指摘した。
NGFSが分析した一連の気候関連シナリオのうち、最も深刻な影響があるのは、26年には熱波や干ばつ、山火事、27年には洪水と暴風雨が同時発生するもの。ユーロ圏が30年までに温室効果ガス排出を1990年比で55%削減するなど、実質ゼロに向けた計画を着実に実行した場合、こうした損失が大幅に軽減できるという別のシナリオも示した。
ストラッカ氏とドイツ連邦銀行(中央銀行)理事のサビーネ・マウデラー氏はECBが公開したブログで、「気候関連リスクは金融安定と経済成長にとって差し迫った懸念事項」だとし、「NGFSのシナリオは排出量実質ゼロへの国際協調によって、今後5年間のユーロ圏の経済的利益を守る可能性があることを示している」と述べた。
NGFSには140以上の中銀・金融規制当局が加盟。ストラッカ氏はシナリオ設計・分析作業チームを率いている。