最新記事

ウクライナ情勢

ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べで暴露した「大損失」

'Missing' Russian Major Tomov Captured by Ukraine, Reveals Heavy Losses

2023年8月17日(木)17時40分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ウクライナ軍に拘束されたと報じられていたロシア軍司令官

ウクライナ軍に拘束されたと報じられていたロシア軍司令官 @NOELreports-X

<行方不明になっていた少佐がウクライナ侵攻について「自分は間違っていた」と語る動画がテレグラム上で共有された>

ウクライナ軍に拘束されたと報じられていたロシア軍司令官の動画が8月13日にインターネット上に投稿され、注目を集めている。この人物は取り調べを撮影した動画の中で、指揮下にある大隊が被った大きな損失について語っている。

【動画】【字幕】ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐の取り調べ動画

動画の中の人物は、ロシア軍第1822大隊の司令官を務めるユーリ・トモフ少佐と名乗っており、ウクライナ軍が先週実施した攻撃作戦の際に、ロシア軍の支配下にあるウクライナ南部のドニプロ川東岸地域で行方が分からなくなったと報じられていた。この地域は2022年2月にロシア軍がウクライナに本格侵攻を開始した当初から、ロシア軍が占領している。

14分間に及ぶこの取り調べ動画は、ウクライナの「ニコラエフスキー・バニョク」というテレグラムのチャンネル(購読者数は120万人)が公開したものだ。同チャンネルは投稿の中で、トモフがロシア軍の受けた損失や、ロシア軍による戦争の見通し、兵士たちの訓練不足などについて語ったと述べている。

本誌は動画の信ぴょう性について独自に検証できておらず、14日にロシア国防省にメールでコメントを求めたが返答はなかった。拘束された戦争捕虜たちが偽のビデオメッセージ収録に利用されている可能性を懸念する声もある。

「うつ状態に陥り任務の実行を拒む」兵士たち

動画の中でトモフは自分について、2022年9月にロシアのウラジーミル・プーチンが発令した部分動員令に基づいて徴兵され、同年10月15日からウクライナに配備されていると語った。司令官に任命される前は、第1822大隊の参謀長を務めていたとつけ加えた。

またトモフは、自分が指揮する部隊がこれまでに失った兵士は、全体の約30%にのぼる可能性が高いと述べた。彼によれば、ロシア軍の兵士たちは短期間でうつ状態に陥り、自らに割り当てられた任務の実行を拒んだという。「そのような要員ばかりでは、戦闘活動の実行は不可能だ」とトモフは述べた。

さらに彼は、ウクライナ軍に身柄を拘束される前は、ウクライナ軍について「ナチス」で「ファシスト的な考え方」を支持している者たちだと考えていたと述べ、プーチンやロシア政府のプロパガンダによって押しつけられたこの論調を自身の部隊にも伝えていたと語った。だがその後、自分の考えが間違いだったこと、全てが自分の想像とは違っていたことに気づいたと明かし、「ウクライナで拘束された後にこの結論に至った。私は実際にウクライナの人々に会い、彼らと話をした」と述べた。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

キャメロン英外相、偽ウクライナ前大統領とビデオ通話

ワールド

デンマーク首相、首都中心部で襲われる 男を逮捕

ワールド

焦点:フランスのムスリム系学校、イスラム主義締め付

ワールド

アングル:肥満症治療薬、有望市場の中国で競争激化の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナの日本人
特集:ウクライナの日本人
2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて

  • 2

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    【独自】YOSHIKIが語る、世界に挑戦できる人材の本質…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    認知症の予防や脳の老化防止に効果的な食材は何か...…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    正義感の源は「はらわた」にあり!?... 腸内細菌が…

  • 9

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 10

    堅い「甲羅」がご自慢のロシア亀戦車...兵士の「うっ…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 3

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 5

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 6

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 7

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新た…

  • 8

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らか…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中