最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナ軍の捕虜になったロシア軍少佐...取り調べで暴露した「大損失」

'Missing' Russian Major Tomov Captured by Ukraine, Reveals Heavy Losses

2023年8月17日(木)17時40分
イザベル・ファン・ブリューゲン

トモフはまた、プーチンが始めた戦争は侵略であり残酷な戦争で、平和を好む人々、ロシアとウクライナ両国の国民の生活と健康を救うものではないことに気づいたともつけ加えた。ロシア軍が一般市民を殺害している理由については説明できず、それはとても難しい質問だとも述べた。

「人々の考え方がどうやって劇的に変化して、ウラジーミル・プーチンの狂った考え方を進んで受け入れるようになったのかは分からない。平和に暮らしたいと思っていた人々がなぜ、ほかの人々を殺し始めたのか分からない。プーチン大統領の理想は、現実とはかけ離れている」とトモフは語った。

取調官がトモフに対して、ウクライナの領土で死ぬことよりもロシアの指導部の方を恐れているのだろうと言うと、トモフはロシア軍の高官や仲間の兵士たちに次のように訴えかけた。

「戦闘に参加している全ての将校、全ての戦友たちに、ウクライナの領土でのこの無意味な戦争をやめるよう呼びかけたい。我々はこの戦争に負けるだろう。そしてこの戦争は我々の祖国に、何ら良い結果をもたらすことはないだろう」と彼は述べ、さらにこう続けた。「ロシア領内の自らの部隊に戻り、国内の秩序を回復させる必要がある」

ほかにも複数のロシア兵と将校が行方不明

これに先立ち、ロシアの戦争支持派の複数のチャンネルが、トモフはウクライナ南部ヘルソンでの作戦中にウクライナ軍に拘束されたと報道。その後、トモフが地図に何かを書き込んでいる様子を撮影したとみられる未確認の短い動画が浮上していた。

トモフについて報じたロシアの軍事ブログの一つが「Trinadtsatyi」というチャンネルだ。ここの複数の投稿によれば、ウクライナによる攻撃作戦の中でロシア軍の兵士16人と将校2人が行方不明となり、その中に「トモフ少佐」も含まれていた。トモフはヘルソンの拠点の様子を確認するために、下士官たちに同行して現地を訪れていたという。

「トモフが連絡してきたら彼に謝罪し、彼の健康を祈りたい。いいコニャックを贈ろう」とある投稿は述べ、さらにこう続けていた。「だが彼の大隊は規制点に到達しなかった。現在は16人全員との通信が途絶えている状態だ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中