最新記事

中国、デルタ株再燃で3歳の子どもにもワクチン義務化──有効性は不明

China Mandates COVID Vaccinations for Children as Young as 3

2021年10月26日(火)15時38分
アリス・メスマー
子供のワクチン接種

アルゼンチンでも3歳以上の子どもを対象にワクチン接種を行っているが CGTN America-YouTube

<北京五輪を前に、感染力の強いデルタ株の市中感染があちこちで顔を出し始めた中国。有効性がはっきりしない国産ワクチンで、感染抑え込みは成功するのか>

中国の複数の地方自治体が10月25日、3歳から11歳の子どもにも新型コロナウイルスワクチンの接種を義務づける通達を出した。

中国の一部の地域では、新型コロナの小規模なアウトブレイク(爆発的拡大)を根絶するためロックダウンや隔離、強制的な検査などを継続しているが、さらに新たな措置として導入されたのが、子どもに対するワクチン接種の義務化だ。幼い子どもを対象にワクチン接種を実施している国は少なく、中国以外ではキューバが9月から、2歳以上の子どもを対象にワクチン接種を開始しているくらいだ。

ワクチン接種の義務化を徹底し、またアウトブレイクを一切容認しない方針を掲げている中国では、人口14億人のうち、76%に相当する10億700万人がワクチン接種を完了している。

アメリカをはじめとする他の多くの国では、中国やキューバのような幼い子どもを対象としたワクチン接種は始めていないが、12歳以上の子どもへのワクチン接種は認めている。またアメリカでは、近いうちに5歳から11歳の子どもを対象としたワクチン接種を開始する計画だ。

以下にAP通信の報道を引用する。

デルタ株への効き目は証拠がない

中国の国家衛生健康委員会は25日、直近の24時間で新型コロナの市中感染が35例報告されたと発表した。このうち4例が甘粛省、19例が内モンゴル自治区での感染例で、ほかにも国内の複数の地域で市中感染が確認された。17日から23日までの1週間では11省・直轄市・自治区で133人の感染が確認されている。

政府は特に、国内旅行によって感染力の強いデルタ株が拡散されることを懸念しており、2022年2月の北京五輪開催に向けて、国民のワクチン接種を進めたい考えだ。北京五輪は、既に海外からの観客を受け入れないことが決定されており、参加者については、外部との接触を遮断する「バブル方式」が採用される。

中国で最も広く使用されている新型コロナワクチンは、中国医薬集団(シノファーム)と科興控股生物科学(シノバック・バイオテック)のワクチンで、公開済みのデータによれば、感染予防と重症化予防への有効性が確認されている。さらに当局者たちはこれらのワクチンはデルタ株に対しても有効だとしているが、どの程度の有効性があるのかに関する確たるデータはない。

湖北省、福建省と海南省はいずれも、新たに省レベルでワクチン接種を義務づける通達を出している。浙江省と湖南省の複数の都市も、同様の措置を発表している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中