ニュース速報
ビジネス

アングル:今週の世界の金融市場、米国の対ウクライナ圧力強まり不安定に

2025年08月18日(月)09時53分

 8月17日、今週の世界の金融市場は防衛関連株とエネルギー市場が注目されそうだ。写真は、ウクライナのゼレンスキー大統領、欧州委員会のフォンデアライエン委員長とビデオ会談を行うフランスのマクロン大統領。ボルム=レ=ミモザで17日代表撮影(2025年 ロイター)

Naomi Rovnick Dhara Ranasinghe

[ロンドン 17日 ロイター] - 今週の世界の金融市場は防衛関連株とエネルギー市場が注目されそうだ。欧州の指導者たちはトランプ米大統領と協議するウクライナを支援しようと急いだ。トランプ氏はロシア寄りの和平案をウクライナに受け入れさせるために圧力をかける可能性がある。

投資家は米国が未開発の北極圏のエネルギー資源を活用しようとしてロシアと関係を深めるかもしれない兆候を注視している。こうした動きは地政学的な大転換となり、欧州に防衛費の急速な拡大を迫っている。

トランプ氏とロシアのプーチン大統領は週末に米アラスカ州で首脳会談をしたが、ウクライナの停戦合意ができなかった。トランプ氏はその後、ウクライナが受け入れるべき迅速な和平合意を望んでいると発言した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ドイツ、英国、フランスなどの首脳も参加する協議のためにワシントンを訪問する予定だ。

ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は顧客向けのメモで「トランプ氏は米国のウクライナ支援を縮小、あるいは終了させる意向のようだ。プーチン氏はビジネスの話でトランプ氏の関心を引いた」と述べた。「その結果、米国はロシアに対する制裁を解除し、代わりにロシアに投資する可能性がある」と続け、「欧州は自らの防衛のために、はるかに多く支出しなければならないだろう」と指摘した。

<防衛関連株の高騰>

投資家たちは2022年2月以降、このような展開を見越して欧州の航空宇宙・防衛関連株に投資してきた。イタリアのレオナルドは600%以上、ドイツのラインメタルは1500%以上の過熱的な上昇ぶりを見せている。

外国為替市場のユーロ相場は今年、ドルに対して13%上昇し、15日は約1.17ドルで取引された。

バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は米ロの北極圏の資源採掘事業が世界で未発見の原油の15%、天然ガスの30%を開発する可能性があると指摘し、「エネルギー市場の深刻な弱気相場」につながると警告した。

北海ブレント先物は15日に1%以上下落し1バレル=66ドル近辺となった。ハートネット氏はウクライナ和平合意を織り込んだ価格設定だとし、トランプ氏は米消費者のためにエネルギー価格の低下を望んでいると述べた。

ウクライナ国債は今月初めに首脳会談の報道が出た際に上昇したが、現在は低水準で停滞している。

イーゴン・アセット・マネジメントの新興国債券責任者ジェフ・グリルズ氏は「最近の上昇の後で、やや弱含みになると考える。15日の首脳会談以降、ムードはロシア寄りに傾いているようだ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ボリビア大統領選、中道派パス氏が首位 左派は敗北へ

ワールド

ケネディ米厚生長官、2028年大統領選への出馬を否

ビジネス

米産業用機械メーカーが苦境に、関税コストの顧客への

ワールド

韓国大統領、北朝鮮との合意の順次実行を閣僚に指示
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    AIはもう「限界」なのか?――巨額投資の8割が失敗する…
  • 5
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 6
    恐怖体験...飛行機内で隣の客から「ハラスメント」を…
  • 7
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 8
    40代は資格より自分のスキルを「リストラ」せよ――年…
  • 9
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 10
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 8
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 9
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中