アングル:今週の世界の金融市場、米国の対ウクライナ圧力強まり不安定に

8月17日、今週の世界の金融市場は防衛関連株とエネルギー市場が注目されそうだ。写真は、ウクライナのゼレンスキー大統領、欧州委員会のフォンデアライエン委員長とビデオ会談を行うフランスのマクロン大統領。ボルム=レ=ミモザで17日代表撮影(2025年 ロイター)
Naomi Rovnick Dhara Ranasinghe
[ロンドン 17日 ロイター] - 今週の世界の金融市場は防衛関連株とエネルギー市場が注目されそうだ。欧州の指導者たちはトランプ米大統領と協議するウクライナを支援しようと急いだ。トランプ氏はロシア寄りの和平案をウクライナに受け入れさせるために圧力をかける可能性がある。
投資家は米国が未開発の北極圏のエネルギー資源を活用しようとしてロシアと関係を深めるかもしれない兆候を注視している。こうした動きは地政学的な大転換となり、欧州に防衛費の急速な拡大を迫っている。
トランプ氏とロシアのプーチン大統領は週末に米アラスカ州で首脳会談をしたが、ウクライナの停戦合意ができなかった。トランプ氏はその後、ウクライナが受け入れるべき迅速な和平合意を望んでいると発言した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、ドイツ、英国、フランスなどの首脳も参加する協議のためにワシントンを訪問する予定だ。
ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は顧客向けのメモで「トランプ氏は米国のウクライナ支援を縮小、あるいは終了させる意向のようだ。プーチン氏はビジネスの話でトランプ氏の関心を引いた」と述べた。「その結果、米国はロシアに対する制裁を解除し、代わりにロシアに投資する可能性がある」と続け、「欧州は自らの防衛のために、はるかに多く支出しなければならないだろう」と指摘した。
<防衛関連株の高騰>
投資家たちは2022年2月以降、このような展開を見越して欧州の航空宇宙・防衛関連株に投資してきた。イタリアのレオナルドは600%以上、ドイツのラインメタルは1500%以上の過熱的な上昇ぶりを見せている。
外国為替市場のユーロ相場は今年、ドルに対して13%上昇し、15日は約1.17ドルで取引された。
バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は米ロの北極圏の資源採掘事業が世界で未発見の原油の15%、天然ガスの30%を開発する可能性があると指摘し、「エネルギー市場の深刻な弱気相場」につながると警告した。
北海ブレント先物は15日に1%以上下落し1バレル=66ドル近辺となった。ハートネット氏はウクライナ和平合意を織り込んだ価格設定だとし、トランプ氏は米消費者のためにエネルギー価格の低下を望んでいると述べた。
ウクライナ国債は今月初めに首脳会談の報道が出た際に上昇したが、現在は低水準で停滞している。
イーゴン・アセット・マネジメントの新興国債券責任者ジェフ・グリルズ氏は「最近の上昇の後で、やや弱含みになると考える。15日の首脳会談以降、ムードはロシア寄りに傾いているようだ」と述べた。