最新記事

新型コロナウイルス

米大学再開をぶち壊す学生たち、乱痴気騒ぎでクラスターも発生

Back To School But At What Price?

2020年8月18日(火)17時40分
ドーン・ゲスク

テキサス工科大学の学生寮に戻ってきた学生たち(8月14日) Brad Brooks-REUTERS

<「若くて健康な」学生たちがキャンパスに戻ったら、行動変容はやはり絵に描いた餅だった>

新型コロナウイルスの感染拡大で休校していたアメリカ各地の大学が、授業を再開し始めている。しかし、感染拡大はまだ続いているというのに、多くの学生は感染予防に協力せず、パーティーを開いて乱痴気騒ぎを続け、マスクも着用しようとしない。たちまち、キャンパス内で複数のクラスター感染が起こった大学もあり、大学は頭を痛めている(8月に学校再開せよ、というのは、経済を再活性化したいドナルド・トランプ大統領の強い要請だった)。

ジョージア州ダロネガにあるノースジョージア大学では8月15日、キャンパスの外にある集合住宅で開かれた大規模なパーティーに学生が参加。マスクを着けずに踊ったり飲んだりしている様子が動画にとらえられた。

同大学のコミュニケーション責任者シルヴィア・カーソンはCNNへのメールでこう述べた。「当校の多くの学生が、新型コロナウイルス感染症の予防ガイドラインを無視し、ソーシャル・ディスタンスもマスクもなしに大勢で集まっていたことに失望した」

ジョージア州ではマスク着用は義務ではないが、ノースジョージア大学は独自に、大学の建物ではマスクを着用するよう求めてきた。それも無駄だったようだ。ジョンズ・ホプキンズ大学によると、ジョージア州の感染者は約23万7030人、死者は4702人に達している。

「なぜだ?」市長の嘆き

アラバマ州タスカルーサのウォルター・マドックス市長は、アラバマ大学の学生たちがマスクを着けずに集まっている写真をツイッターに投稿し、こう嘆いた。「なぜだ? 私たちはタスカルーサ市を守ろうと必死になっているのに」

全米各地の大学で授業が再開されるとともに、新型コロナウイルスのクラスターも増加している。

ノースカロライナ大学では同時に複数のクラスターが発生している。大学ウェブサイトによると、直近では男子学生組織シグマ・ニュー・フラタニティで多数の感染者が出たほか、3つの学生寮でもクラスターが確認された。

オクラホマ州立大学でもクラスターが1件発生し、パイ・ベータ・ファイ女子寮に住む学生23人が陽性と確認されたと、地元紙オクラホマンが報じている

オクラホマ州立大学の広報担当モニカ・ロバーツは同紙に対し、「2万人の学生が戻って来れば、キャンパスで感染者が増えるのは当然だ。私たちは5カ月間、こうした事態に備えてきたし、対応するための準備は整っている」と述べた。

同じく学生組織やパーティーでクラスターが発生したカリフフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部のアート・ラインゴールドも、これは予期した通りの事態だとAP通信に語った。「若くて健康な学生たちに、行動変容を求めるのは簡単なことではない」

(翻訳:ガリレオ)

<参考記事>コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
<参考記事>あまりにも悲痛な事態を前に言葉を失うアメリカ社会

【話題の記事】
イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人主義
「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開

20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊プラダ第1四半期売上高は予想超え、ミュウミュウ部

ワールド

ロシア、貿易戦争想定の経済予測を初公表 25年成長

ビジネス

テスラ取締役会がマスクCEOの後継者探し着手、現状

ワールド

米下院特別委、ロ軍への中国人兵参加問題で国務省に説
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中