最新記事

人種問題

「ホワイトニング」もNG? 黒人差別反対運動から進むネーミング変更

2020年6月30日(火)15時50分
安部かすみ

人気商品もブランド名変更を発表...... NBC-YouTube

<黒人差別の撤廃を訴える「Black Lives Matter」運動の抗議デモが始まってから1ヵ月が経過したが、その波は、思わぬ方向へ拡大している......>

BLM運動でブランドやネーミング変更が加速

ジョージ・フロイドさんが白人警察官の暴行により死亡した事件を受け、黒人差別の撤廃を訴える「Black Lives Matter(ブラックライブズマター)」運動の抗議デモが始まってから1ヵ月が経過したが、その波は、思わぬ方向へ拡大している。企業やアーティストが、次々にネーミング変更をしているのだ。

19世紀創業の米老舗食品メーカー、クエーカーオーツ(Quaker Oats)社は今月17日、シロップやホットケーキのパッケージデザインにあしらわれていた人気商品、アント・ジェマイマ(Aunt Jemima)のブランド名変更を発表した。消費者にすっかりなじみのある黒人女性のジェマイマ叔母さんがマスコットキャラクターだったが、もとは白人が黒塗りして演じたショーのキャラクーにちなんで名付けられた背景があるとし、同社には変更の依頼が多く寄せられていた。

アーティスト名を変える動きも出ている。カントリーミュージックバンドのレディ・アンテベラム(Lady Antebellum)はレディ・エー(Lady A)に、ザ・ディクシー・チックス(The Dixie Chicks)はザ・チックス(The Chicks)に、それぞれバンド名を変更した。

それぞれ米南部出身のバンドで、活動名は土地柄の歴史に由来していたが、いずれも奴隷制時代を想起させるものだったため、昨今の差別問題に配慮したようだ。

例えば、アンテベラムとはアンテベラム・サウス(Antebellum South)、つまり「南北戦争以前の時代」という言葉の一部で、南部の地域経済が奴隷制度により大成長を遂げた時代だ。またディクシーはディキシーランド・ジャズ(Dixieland Jazz)という言葉からも想像しやすいが、これもそのような時代の南部をイメージさせる言葉だ。ちなみに、メイソン-ディクソン線(Mason-Dixon line)という、メリーランド州とペンシルベニア州の州境に引かれていた線があるが、この線より南は奴隷制存続を主張していた歴史がある。

また、4月のことだが、バターの人気メーカー、ランド オー レイクス(Land O'Lakes)がパッケージを一新した。以前はネイティブアメリカンのイラストが描かれていたのだが、そのイラスト部分が除いたものに変更した。

こうしたパッケージデザインの変更はよく行われていて、昨年も、動物愛護の観点からお菓子のパッケージの動物のイラストに変更されたことがあった。

【過去記事】
動物愛護の点からパッケージを変更した企業
米人気スーパーの菓子パッケージが批判を受けて変更、そのワケは?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエル・イラン停戦支持 核合意再交渉

ワールド

マスク氏、トランプ氏の歳出法案を再度非難 「新政党

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで約4年ぶり安値、米財政

ワールド

米特使「ロシアは時間稼ぎせず停戦を」、3国間協議へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引き…
  • 8
    飛行機のトイレに入った女性に、乗客みんなが「一斉…
  • 9
    自撮り動画を見て、体の一部に「不自然な変形」を発…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中