最新記事

新型コロナウイルス

イタリア首相「夏にはすてきな休暇が待っている」

'Summer Will Not Be Quarantined, Italy Will Go on Vacation'

2020年5月11日(月)18時05分
ケネス・ローゼン

広場に椅子を並べてロックダウン(都市封鎖)に抗議するレストラン店主(5月6日、ミラノ) Flavio Lo Scalzo-REUTERS

<外出・営業制限の一部緩和を打ち出して1週間のイタリアで、夏までには外出制限を解除できるとコンテ首相が明言>

イタリアのジュセッペ・コンテ首相は、新型コロナウイルスの感染拡大阻止のための外出・移動禁止措置(ロックダウン)について、夏には解除できるとの見通しを明らかにした。

地元有力紙コリエレ・デラ・セラの取材に対し、コンテは「夏をバルコニーで過ごすことはないだろう。海にも山にも行けるようになるだろうし、都会で楽しい時間を過ごすこともできるようになるだろう」と述べた。

またコンテは「イタリア国内で過ごすにせよそうでないにせよ、ルールを守り注意を怠らなければ、すてきな休暇になるだろう」とも述べた。

新型コロナウイルスによる死者が3万人を超えるなど深刻な被害を被ったイタリアだが、今月4日からは外出制限などの段階的な解除が始まっている。イタリアでは3月、他国に先駆けて全土でロックダウン(都市封鎖)が導入された。生活に必須ではないすべての商店が閉鎖され、6000万人の全住民の外出が原則、禁じられた。

北部パドバの研究チームは、イタリア北部における無症状感染の広がりについて調査を開始、パドバ郊外のボー村では、住民の約40%が無症状または医療措置が必要ない程度の軽症ながらコロナウイルスに感染していたことが明らかになった。ちなみにパドバでは2月下旬、イタリアにおけるコロナウイルスによる初の死者が確認されている。

商店の営業再開は、生花店や一部のカフェなどで少しずつ始まってはいるものの、通常レベルの生活に戻るにはまだ時間がかかるだろうとコンテは述べた。

EUの支援に期待

コリエレ・デラ・セラのインタビューでコンテは、制限解除の時期ややり方をはっきり言える状況ではないと指摘。今後数カ月は経済的に「非常に厳しい」状況が続くものの「夏には外出禁止は解除されるだろう。イタリアに夏休みが来る」と述べた。

「GDPは急落するだろうし、経済的な影響は非常に厳しいものになるだろう」とコンテは述べた。第二次大戦の時よりも深刻な打撃を受けた経済を支えるための支援をEUに求めているが、せめぎ合いが続いていることにもコンテは触れた。

イタリアでは旅行や一部のスポーツ、教会の礼拝への参加に対する規制が緩和されたものの、一定規模を超える集会は今も禁止されている。バルやレストラン、美容院は18日に営業再開の予定だが、学校の授業再開のスケジュールはまだはっきりしていない。多くの国で海外への渡航規制が続く中、もともと観光業以外に経済の柱となる産業に乏しい南部では、景気回復にはさらに時間がかかるかも知れない。

<参考記事>イタリアを感染拡大の「震源地」にした懲りない個人主義
<参考記事>「一帯一路」参加でイタリアは中国の港になってしまうのか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は3日続落、リスクオフで1620円安 今年

ワールド

訪日客17%増の389万人、10月の最多を大幅更新

ビジネス

クレディ・アグリコル、28年の純利益目標設定 市場

ワールド

中国の世界的な融資活動、最大の受け手は米国=米大学
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中