最新記事

日本社会

新型コロナウイルスで明暗別れる日本の外食業 客層や立地が客足に影響

2020年3月26日(木)19時11分

日本の外食産業は新型コロナウイルスの影響を総じて受けているものの、業態や客層、立地などによってその濃淡が異なる。写真は3月9日、東京で撮影(2020年 ロイター/Hannibal Hanschke)

外食産業で明暗が分かれている。新型コロナウイルスの影響を総じて受けているものの、業態や客層、立地などによってその濃淡が異なるためだ。接待や宴会需要の高いパブ・居酒屋の売り上げが落ち込む一方、食堂、レストラン、専門店などは底堅い。大人数より小人数、繁華街より郊外の業態の方が相対的に賑わいをみせている。

寂しい繁華街


「本当はきょう貸し切り営業だったんですけどね」。3月中旬のアフター5。東京・赤坂駅から徒歩5分の居酒屋には、カウンターに個人客が1人。いつもと違う風景が広がっていた。

地酒が売りのこの店は、19時過ぎには会社帰りのビジネスパーソンでテーブル・カウンター全25席が埋まることが多かった。ただ、安倍晋三首相が先月26日、イベントの自粛を要請したところから風向きが変わり、3月2日以降に入っていた予約は個人、宴会を含めてすべてキャンセル。9日以降も予約の申し込みがまったく無くなったという。

例年、3月は企業の送迎会などがあって忙しい時期だが、新型コロナの影響で自粛ムードが広がり機会損失となっている。「歓迎会は延期できますが、送迎会は人が別の場所に行ったきりになったりしますからね。送迎会のやり直しは見込めません」。居酒屋の店主は話す。

レストラン予約管理システムなどを手掛けるテーブルチェック(東京都中央区)がまとめたデータによると、団体予約のキャンセル率が、26日以降、6名予約が1月初旬に比べて約1.5倍、10名以上が約3.6倍まで急上昇したという。

赤坂や新橋などの飲食店の事情に詳しい、港区内の酒店店員によると、接待や宴会の自粛が飲食店の経営を圧迫。夜間営業のみの店がランチを始めたり、複数店を経営しているところは営業店舗を減らしたりして「糊口を凌いでいる」という。中には4月以降の営業の継続を諦め、店舗の賃貸契約を解約したところもあるという。

郊外は別の光景

賑わいをみせている店もある。

別の3月後半の平日夜。東京・板橋区の住宅街の一角にある居酒屋は、ほぼ満席状態だった。企業や団体ではなく、常連やファミリー層が顧客の中心だったこともあり、新型コロナ流行による自粛の影響を免れた形だ。「客足はほとんど落ちていない」(店主)といい、男性客の一人は「会社での飲み会はほとんどなくなった。最近は一人でサッと飲んで帰ることが多くなった」と話す。

その日の深夜。同じ板橋区の幹線道路沿いにある立ち食い蕎麦屋には、途切れることなく客が舞い込んでいた。午前0時を過ぎているにもかかわらず、カウンターはほぼ満席。客は平均10分程度で食べ終え、徒歩や自転車で帰っていく。客足について、ここもまた「おかげさまで新型コロナの感染が拡大してからもあまり変化はない」と店員は話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

金現物が連日の最高値、銀現物は初の90ドル突破

ビジネス

12月工作機械受注は前年比10.6%増、6カ月連続

ワールド

イラン抗議デモ関連の死者2571人に=米人権団体

ビジネス

米、エヌビディア「H200」の対中輸出を承認 事前
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広がる波紋、その「衝撃の価格」とは?
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救った...実際の写真を公開、「親の直感を信じて」
  • 4
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「お父さんの部屋から異臭がする」...検視官が見た「…
  • 10
    「普通じゃない...」「凶器だ」飛行機の荷物棚から「…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中