最新記事

若者

新型コロナウイルスは恐れを知らない若者にも感染し、重症化する

Young Adults Not Spared By COVID-19

2020年3月24日(火)19時35分
ディブヤ・ラマスワミー

店舗の営業自粛や夜間外出禁止令が出たにも関わらず、マイアミビーチで夜遊びに興じる春休み中の大学生たち(3月18日) Carlos Barria-REUTERS

<無症状だったとしてもウイルスを拡散する。若者の協力がなければパンデミックは終わらない>

新型コロナウイルスは、高齢者や基礎疾患を持つ人のほうが重症化するリスクが高いと言われている。しかし、だからと言って、若者がこのウイルスに感染しないわけではない。若くても感染して重症化する恐れはあり、米疾病予防管理センター(CDC)は、若年も無敵ではないと指摘する。

「高齢者が最も大きな影響を受けているが、若者が例外だというわけではない。入院を必要とする患者のうち、50歳未満の人の割合がかなり高いことを、多数の国々のデータが示している」と、世界保健機関(WHO)事務局長のテドロス・アダノム・ゲブレイェソスが記者声明でそう述べたと、世界経済フォーラム公式サイトは紹介している。

「本日、私は若い人々にこう伝えたい。あなたがたは無敵ではない。このウイルスにかかれば、何週間も入院したり、死に至ったりする可能性さえある。無症状であっても、あなたの行動や行き先が、ほかの人の生死を分けるかもしれない」とテドロスは述べた。


知っておくべきポイントは以下のとおり

1.入院を必要とする患者のなかで、50歳未満の成人がかなりの割合を占めていることが明らかになっている。

2.アメリカで最初に新型コロナウイルスへの感染が確認され、入院が必要になった人のうち40%近くが20〜54歳だったと、ニュースメディアThe VergeはCDCのデータに言及して報じている。

3.重症化した50歳未満の成人に関するいくつかの情報と死亡者数が、ソーシャルメディアで広まっている。たとえば、中国の武漢では29歳の医療従事者2名が重症化した。

4. WHO事務局長は若者たちに対して、新型コロナウイルスのパンデミックを軽視してはいけないと警告している。

5.新型コロナウイルスは若者でも発症するし、死に至ることもある。そのため、発症しやすい人たちと接するのを避けるとともに、自らが感染源になってウイルスを弱者に広げないことが求められる。

6.WHOは、欧米メディアで一般的になった社会的距離という表現を変更し、「物理的距離」を保ってウイルスの拡散を防ぐよう呼びかけている。インターネットなどを通じて社会的なつながりは保ってほしいとして、WHOが3月21日に表現変更を発表したのも、物理的に他人との接触を断つことの重要性の現れだ。

7.新型コロナウイルスによって死に至るリスクが年齢とともに劇的に上昇するのは事実だが、それは、若者は重症化しないという意味ではないことをCDCのデータが示している。

8.糖尿病などの慢性疾患を持つ若者もいる。新型コロナウイルスからの回復はより困難になるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税の影響を評価するのは時期尚早=FRB金融政策報

ビジネス

米株式ファンドから大幅に資金流出 中東緊迫化と関税

ビジネス

フィラデルフィア連銀製造業指数、3カ月連続マイナス

ワールド

IAEA事務局長「最大限の自制を」、イラン核施設へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「過剰な20万トン」でコメの値段はこう変わる
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    全ての生物は「光」を放っていることが判明...死ねば…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イ…
  • 8
    「巨大キノコ雲」が空を覆う瞬間...レウォトビ火山の…
  • 9
    「まさかの敗北」ロシアの消耗とプーチンの誤算...プ…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 5
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中