最新記事

新型コロナウイルス

今日も市場で生きてるコウモリ販売するインドネシア 新型コロナ感染ゼロの理由とは

2020年2月18日(火)20時15分
大塚智彦(PanAsiaNews)

鳥市場の奥で販売されているコウモリ 撮影=筆者

<東南アジア各国で感染のニュースが報じられるなか、感染者ゼロが続くインドネシア。その理由とは?>

世界的広がりを続けている新型コロナウイルスによる肺炎だが、2月18日現在、依然として感染者ゼロを続けている東南アジアの大国インドネシア。今回のウイルスの感染の源として中国・武漢の市場で売られていたコウモリなどの野生動物が取り沙汰され、インドネシアをはじめとして周辺国は中国からの家禽類の輸入制限などに踏み切っている。

しかし、首都ジャカルタの市場では現在もコウモリやウサギ、サル、トカゲなどが普通に売られており、市場関係者は「新型肺炎の心配は全くない」と影響がないことを強調している。

ジャカルタ東部にある「プラムカ市場」は医薬品や医療品を主に取り扱う小売店が集まった市場である。そこには空気汚染用から風邪予防まで複数のマスクが山積みにされて販売されている。ジャカルタ市内の一部の小売店でマスクが売り切れ状態になっているとの情報が在留邦人の間などで流れているが、プラムカ市場に限って言えば「品切れなんてない、在庫は山ほどある」(マスク販売業者)という。

生きたコウモリを販売

このプラムカ市場のもう一つの顔は、市場本体のビルの裏に広がる昔ながらの木造2階建ての「鳥市場」である。ありとあらゆる鳥類、スズメからインコ、ハト、ニワトリ、カラスまでが大小の鳥かごに入れられて販売されている。

インドネシア人は籠に入れた鳥の鳴き声を楽しむという伝統的な趣味がある。高い音色で長く朗々と響く鳴き声がよいとされ、そういう鳥は高価に取り引きされる。

鳥市場の中に新型コロナウイルスで話題のコウモリが売っているとの情報を得て訪れたのだが、インコやセキレイを売る店の人に恐る恐る尋ねると「売っているよ」と、アッサリとその売り場まで案内してくれた。

黒布で覆われた暗い籠の中に蠢(うごめ)くものがあり、「これじゃ見えないので写真撮影して確認したい」と、撮影の了解を得て籠の中にカメラを向けてフラッシュ撮影した。

その瞬間暗闇からこちらをにらむコウモリがいた。当然のことながら頭を下にしてぶら下がった状態だった。

店の人によれば値段は1匹50万ルピア(約4000円)で、焼いたり揚げたりするという。ただ食用というより粉末にして漢方薬として飲む人がジャカルタでは多いそうだ。喘息などの呼吸器系の病気に効果があるという。

さらに奥、動物類が主に売られているという一角に行くとサル、ネコ、ウサギ、トカゲ、カメレオンなどが籠の中で買い手を待っていた。ヘビ、クスクス、センザンコウなどは注文販売で、発注すれば1日から1週間で届くという。

そこにもコウモリがいた。こちらは遮蔽物もなく明るい籠の中で頭を下にしてぶら下がっていた。こちらは1匹40万ルピア(約3200円)。この店に案内してくれたインドネシア人は「イスラム教徒は絶対にコウモリを食べない。ただ病気の人が薬として服用するのは問題ない」と話し、決して食用ではないことを強調する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイ政府が大型建設を一時停止、クレーン落下の死亡事

ビジネス

ポピュリズムに毅然と対応を、英中銀総裁表明 経済リ

ビジネス

ポルシェの25年販売、10%減 中国需要の低迷響く

ワールド

ブルガリア大統領、総選挙実施を発表 組閣行き詰まる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 3
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑について野次られ「中指を立てる」!
  • 4
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 5
    イランの体制転換は秒読み? イラン国民が「打倒ハ…
  • 6
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 7
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 10
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中