最新記事

インド

カンニング大国インドの学校が考案した奇策に「非人間的」と批判殺到

College in India Apologizes for Unorthodox Method to Prevent Cheating

2019年10月23日(水)17時45分
ジャニン・マリエ・ラッソー

確かにカンニング防止には効果的かもしれないが? SOCIAL MEDIA

<インドの後進性を世界に晒した、と教育当局はカンカン>

カンニング大国インドでまた事件が起こった。ある私立学校が10月16日、カンニング防止のため試験を受ける学生に段ボール箱をかぶらせたのだ。写真がソーシャルメディアに投稿されて大問題になり、学校は謝罪した。

事件が起きたのは、インド南西部カルナータカ州の町、ハーヴェーリにあるバガット・プリユニバーシティ(大学進学準備)カレッジで。ソーシャルメディアに掲載された写真には、段ボール箱を頭にかぶって机に向かい、化学の中間試験を受けている学生たちの様子が写っている。

<参考記事>インドは脱貧困の優等生 10年で2億7000万人が極貧にさよなら

インドのニュースチャンネル「ニュース18」によると、同校職員のサティーシュ・ヘロアが試験の翌日に写真を投稿した。ヘロアはこの写真に、「今日は、我々の学校で中間試験がありました。この学校は、ハーヴェーリにあるバガットPUカレッジです」というキャプションをつけていたという。

世界的に有名になったインドの大量カンニング事件 euronews-YouTube


途中で脱いだ学生もいた

問題を知ったインドの教育当局は、直ちに同校のカンニング対策に待ったをかけ、指導を行ったと英字紙ザ・タイムズ・オブ・インディアは伝える。

地元のプリ・ユニバシティー(PU)教育委員会のS・C・ピアジェイド副委員長は、「我々は学校に対し書面による説明を求めると共に、こうした事態が再び起きれば学校の認可を取り消す用意があると伝えた」と述べた。

同校の教務担当者のひとりであるM・B・サティーシュは当初、試験の最中に学生に箱をかぶせた判断を正当化する姿勢を見せていた。

「我々がこのアイデアを実行に移したのは、(カンニングという)不正行為を防止するためであり、学生たちを辱めるつもりはなかった。これは試験的な措置にすぎない」とサティーシュは述べ、「実行する前には学生たちに趣旨を説明し、同意を取っている」と言った。

<参考記事>大学入試カンニング事件で露呈したマスコミのお粗末なITリテラシー

その後サティーシュはBBCの取材に対し、この一件について「申し訳なく思う」と陳謝し、こう釈明した。「一切強制はしていない。写真を見れば、箱をかぶっていない学生がいるのもわかるはずだ。最初はかぶっていたが、15分後、20分後に脱いだ学生もいた。また、1時間かぶり続けた学生に対しては、学校側から脱ぐようにと指示した」

インドのニュース週刊誌インディア・トゥデイの記事によると、この学校では過去に学生がカンニングを行ったことがあり、学校側から何度も警告を行っていたという。

写真が拡散して以来、この一件はインド教育界の関心を呼び、一部ではソーシャルメディアで苦言を呈する教育関係者も出てきた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

香港民主派メディア創業者に有罪判決、国安法違反で

ワールド

米、ブラジル最高裁判事への制裁解除 前大統領の公判

ビジネス

中国粗鋼生産、11月は23年12月以来の低水準 利

ビジネス

吉利汽車、2.84億ドル投じ試験施設開設 安全意識
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中