最新記事

ブレグジット

ボリス・ジョンソン英首相のイケメンな弟、政局混迷のただ中で議員辞職

Boris Johnson's Brother Quits U.K. Government Amid Brexit Chaos

2019年9月6日(金)14時20分
シェイン・クラウチャー

期限までのEU離脱で窮地に立ったボリス・ジョンソン首相に辞表を提出した弟ジョー・ジョンソンは「合意なき離脱」に反対だった(9月5日、ロンドン) Henry Nicholls-REUTERS

<「家族に忠誠を尽くすか国益を優先させるか」悩んだ末に閣外相辞任と議員辞職を発表>

EU(欧州連合)離脱をめぐって窮地に立たされているボリス・ジョンソン英政権をさらなる衝撃が襲った。ジョンソン首相の弟のジョー・ジョンソンが閣外相辞任と議員辞職を表明したのだ。

ロンドンのオーピントン選出の保守党議員で、大学・科学担当の閣外相を務めてきたジョー・ジョンソン(47)は9月5日、ツイッターで辞職を発表。「9年間にわたって議員を務め、3人の首相の下で閣僚を務められたことを光栄に思っている」と述べた。

「この数週間、家族への忠誠と国益のどちらを選ぶのか悩んでいた。これは解決しようのない緊張だ。議員と閣僚としての役割を、ほかの人々に渡す時だと判断した」

兄のジョンソン首相(55)は10月31日にEUを離脱するためには「合意なき離脱」も辞さないとしているが、同じ保守党に属する弟は「合意なき離脱」に反対の立場。2016年に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票では、残留を支持していた。強硬離脱派の兄についていけなくなったようだ。

<参考記事>ボリス・ジョンソン英政権、10月半ばまで議会閉会 「合意なき離脱」ごり押しのためのウルトラC

ジョーの辞意表明に対し首相官邸は声明を発表した。「彼は優秀で才能ある閣僚で、素晴らしい議員だった。兄として政治家として、首相はこれが彼にとって簡単な決断ではなかったことを理解している」

一方、最大野党・労働党のデービッド・ラミー議員は「実の弟さえもが、ジョンソン政権の下で働くことに耐えられない」とツイート。「保守党はばらばらの状態だ。EU懐疑主義への異常な執着が党を破壊した」

<参考記事>「奥さんの胸はもっと大きくなる」ボリス・ジョンソン英首相迷言集

与党は過半数を失い敗北続き

事実、与党・保守党は9月3日に瓦解した。保守党のフィリップ・リー議員が自由民主党に移籍したことで下院の過半数を失った。劇的な鞍替えだった。AFPによれば、リーはジョンソンの発言中に議場を移動し、親欧州派の自由民主党の席に座ったという。

ジョンソン宛の離党届の中でリーは、保守党がブレグジットにより「ポピュリズムとイングランドのナショナリズムという2つの病気に感染した」と批判した。

同日、さらに保守党議員21人が「離脱延期法案」に賛成票を投じて造反し、党を除名された。

ジョンソンが追い込まれたのは、ここへきて、「合意なき離脱」に対する危機感が与野党内で強まってきたからだ。9月4日、下院は合意なき離脱を阻止するためのEU離脱延期法案を可決。ジョンソンは解散総選挙を提案したが否決された。最大野党の労働党は、合意なき離脱の可能性がなくならなければ総選挙には応じられないという姿勢だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、来週にもBBCを提訴 恣意的編集巡

ビジネス

訂正-カンザスシティー連銀総裁、12月FOMCでも

ビジネス

米バークシャー、アルファベット株43億ドル取得 ア

ワールド

焦点:社会の「自由化」進むイラン、水面下で反体制派
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 5
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 8
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 9
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 10
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中