最新記事

トランプ訪英

波乱含みのトランプ訪英 メーガン妃は既に欠席表明

Trump Visits UK Amid Brexit Turmoil

2019年6月3日(月)15時30分
ケネス・ロス

昨年の初訪英時には、大規模な反トランプデモのためにロンドン中心部を通れなかった Yves Herman-REUTERS

<トランプ嫌いのロンドンっ子たちが待ち構えるイギリスへ。本当に歓迎するのは、イギリスとEUの分断を煽る離脱強硬派ぐらい?>

ドナルド・トランプ米大統領は6月3日朝、国賓として初めてイギリスに到着する。エリザベス女王との会見や第二次大戦のノルマンディー上陸作戦75周年記念式典への出席を含む5日間の訪欧を開始する。イギリス国内はブレグジットをめぐる混乱で騒然としており、英米貿易協定の交渉も物議を醸している最中だ。

トランプ夫妻と成人した子供たちはバッキンガム宮殿で女王エリザベス2世に謁見し、チャールズ皇太子の公邸であるクラレンスハウスで伝統的なアフタヌーンティーを楽しむことになっている。

トランプはイギリスでは嫌われている。昨年の訪英時にもロンドン中心部で大規模なデモが行われ、トランプはデモを迂回した。

<参考記事>世界でも特にイギリスでトランプが嫌悪される理由

2018年訪英時、ロンドン中心部で行われた反トランプデモ


王室の最も新しいメンバーであるメーガン妃(サセックス公爵夫人)は既に、第一子の出産後であることを理由に、トランプ訪英の行事には出席しないと発表している。メーガン妃は2016年の米大統領戦の前に、トランプは女性を蔑視しているとして、トランプが大統領に選出されたらカナダに移住するかもしれないとテレビのインタビューで答えたことがある。

英王室に入った今ではあまり見られない激しい身振りでトランプは人々の対立を煽ると批判するメーガン・マークル(当時)


5月31日のイギリスの大衆紙の取材で、このときのメーガン妃のコメントについて尋ねられたトランプは、「なんといえばいい? 彼女が意地の悪い(nasty)人だとは知らなかった」と応じた。トランプは自分の行為や政策を批判する女性に対してはいつも同じ形容詞を使う。だが同時に、メーガン妃は英王室で「うまくやっていく」と思うともつけくわえた。

ブレグジットに口先介入

訪英前、トランプはニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、6月7日に与党・保守党の党首を辞任するテリーザ・メイ首相についてイギリスをEUからの離脱に導くことができなかったと批判、イギリスの次のリ-ダーは離脱を成功させたいなら、EU本部との交渉を止めるべきだと言った。

トランプは、元ロンドン市長で離脱強硬派のボリス・ジョンソン前外相がメイの後任となるべきだと言った。「合意なき離脱」も辞さずとEUとの対決姿勢を露わにするブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首もトランプと仲がいい。

<参考記事>メイの有力後継候補ジョンソンはヤバい?「合意なき離脱」率25%に

メイはすでに政治的影響力を失っているが、トランプ政権の担当者は4日の米英首脳会談で取り上げるであろう重大な問題をリストアップしている。そのなかには、中国とイランがもたらした経済的・軍事的脅威に加えて、ブレグジットや貿易交渉などが含まれている。

トランプはこれまで、EUから離脱したイギリスとの貿易協定を望んでいると明言している。だが、ナンシー・ペロシ米下院議長(民主党)は、英・北アイルランドとアイルランド間の国境管理をなくし、和平を実現させた98年のベルファスト合意を損なう可能性があるなら、EU離脱後の英米貿易協定が実現することは絶対にないと警告した。

もっともイギリス滞在は、トランプの今回の訪欧日程のなかではまだ快適なほうかもしれない。訪英の後、トランプはブレグジットに断固反対するアイルランドのレオ・バラッカー首相と会談し、フランスではノルマンディー上陸作戦記念日の式典に参加した後、トランプのアメリカ第一主義を公然と批判しているエマニュエル・マクロン大統領と会談する予定だ。

(翻訳:栗原紀子)

20190611issue_cover200.jpg
※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中